
立地のいい小東京の鹿島ビル1階に移転した紀伊國屋書店ロサンゼルス店は、新装開店を祝う記念レセプションをこのほど、日米文化会館で開いた。書籍販売に加えて日本のポップカルチャーの発信に力を注ぎ、小東京を盛り上げて共に発展する決意を新たにした。来賓の室田幸靖総領事、小東京のビジネス関係者、日米の出版関係者らは拡張した新店舗の充実した品ぞろえを称賛し、漫画をはじめとする日本のコンテンツを広める役割に期待を寄せた。

紀伊國屋書店の高井昌史代表取締役会長があいさつに立ち、米国初出店から全米の主要都市に店舗を広げてきた歴史、そしてロサンゼルス店が移転後も小東京で地域と一体となり、成長していく意思を示した。
高井氏によると、紀伊國屋書店は1969年に海外第1号店をサンフランシスコに出店し、今年で米進出から57年がたつ。「その当時、創業者の田辺茂一氏は、日系米国人のために、また米国に日本を発信するために書店を出店してほしいという声に応え、何としても力になりたいと出店を決断した」と説明。その8年後の77年、小東京にロサンゼルス店(当時のホテルニューオータニ内)を開店、3年後の80年にウェラーコート内に移転し、「以来46年にわたり、地域の皆さんに支えられ小東京の一員として歩んで来た」と強調した。これまでにニューヨーク、シアトル、テキサスなど全米各地に店舗網を広げ、現在は北米に22店舗を展開する。

移転した新店舗は、約1万4千平方フィート(405坪)の大型旗艦店として新たな一歩を踏み出したが、「これもひとえに、皆さんの長年にわたる引き立ての賜物と、心より感謝したい」と頭を下げた。ロサンゼルスについては「今、大いに盛り上がっている。ドジャースの大谷、山本、佐々木は言うまでもないが、サッカーのワールドカップの会場となり、さらに2028年には五輪開催が控えている。交通網やスタジアムの建設が進み、さらなる発展が予想されている」と展望し、「この大都市にあって特に多くの人々が集い、活況を呈しているのが小東京である」と力説。「日本の漫画、アニメ、音楽、食、文化が世代と国境を超えて多くの人々を魅了し続けており、小東京の果たす役割は、これからもますます大きくなっていく。紀伊國屋書店もこの町の一員としてロサンゼルスと小東京のさらなる発展に貢献していきたい。これからの50年、100年、この地でわれわれのさらなる成長を見守り続けてほしい」と力を込め、協力を求めた。

来賓が祝辞を述べ、新店舗の門出を祝った。室田総領事は、紀伊國屋書店が 69年に初めて米国進出した時と今を比較し、「かつては日本の本を売って日本文化を伝えることだったが、新たなミッションは日本のアニメを中心とする多岐にわたる日本のコンテンツを広めていくというものだ。非常に大きな役目である」と指摘した。「日本のコンテンツをロサンゼルスから発信し、それがソーシャルメディアなどインターネット上で拡散され、全米に、そして世界に広がってほしい」と願い、新店舗の開店に際してさまざまな支援を行ってきたのと同様に「今後も引き続き支援する」と確約した。
乾杯の音頭を取った講談社の野間省伸代表取締役社長は、69年の1号店開店時に祖父が来米して祝辞を述べたことを紹介した。野間氏自身はロサンゼルス店の40周年に続いて2回目の記念レセプション参加で、「誠に光栄に思っている」と語った。日本が取り組むコンテンツの海外展開については、政府がアニメやゲームなどの日本のコンテンツの海外売り上げを現在の6兆円から2033年までに20兆円へ拡大する目標を掲げており、それに向けてさまざまなプロジェクトが進んでいることを説明し、「その中でも重要な分野として位置付けられているのが漫画である」と強調。「われわれは今後もさらに売れるコンテンツを出していくので、ロサンゼルス店の皆さんには全米、そして世界中に向けてどんどん売ってほしい」と期待を寄せた。

山口桜店長が謝辞に立ち、移転・新装開店を託されて当地に赴任したが予定より遅れて2年目でようやく開店にこぎ着けたことに「心からホッとしている」と安堵の表情を見せた。「日本のコンテンツに対するお客さんの熱量を毎日、ひしひしと感じている。これを一過性のものではなく定着させることが私の使命だと思う。よりよい店、よりよい場を作っていきたい」と誓った。「広々とした、開放感のある素敵な店を作ってもらい可能性が広がった。歴史のある小東京で何か面白いことができればいい」と意欲を示し、期待のこもった大きな拍手を受けた。

親松直紀・米国地区総支配人は「日米交流の歴史を刻んだこの小東京で、当社が新たな一歩を踏み出すことができたことを誇りに思う。今後も小東京とロサンゼルスのさらなる繁栄に貢献したい」と抱負を述べた。「新しく生まれ変わったロサンゼルス店を末長く愛顧いただきたい」と求めてイベントを締めくくった。
新店舗は鹿島ビルの駐車場が利用でき、メトロ小東京/アーツディストリクト駅と各方面のバス停が近い。サンペドロ通りとオニヅカ通りに面しており、どちらからも入店できる。周辺のアニメショップや和食店の客などで人通りも多く、集客が見込まれることから、より良い立地への移転と評価されている。
旧店舗の2倍以上の売り場面積を誇り、店内は開放感のある空間が広がる。日本語書籍は小説、雑誌、漫画、日本の観光ガイドブック、日本文化芸術の専門書、幼児・児童向け絵本など幅広いジャンルを取りそろえている。英書はカリフォルニア最大級の英訳漫画売り場に加え、一般書籍は近年注目を集める日本文学の英訳本を中心に充実させている。

書籍以外にも、デザイン性と機能性を兼ね備えた質の高い日本製文房具やマグカップ、Tシャツ、プラモデル、財布、ギフト商品を展開している。また、ハローキティやアニメのフィギュア、キャラクターグッズ、スタジオジブリのコーナー(「となりのトトロ」「天空の城ラピュタ」「千と千尋の神隠し」)を常設し、ロサンゼルス店限定のオリジナル商品も用意している。ドジャースの大谷選手の写真集やバブルヘッド人形も目を引く。
紀伊國屋書店ロサンゼルス店
101 San Pedro St,
Los Angeles, CA 90012営業時間
午前10時~午後8時
(永田潤、写真も)

