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緩み始めた心のタガ

 ネバダ州リノの中学校で9日、コロナ陽性の生徒が登校し、80人以上の生徒が濃厚接触者になった。CNNニュースによると、この生徒と両親の3人は、登校日の2日前に新型コロナウイルス陽性の検査結果を受けていた。それにもかかわらず、この親は子どもを学校へ行かせたと、郡の保健局が発表している。新学期早々濃厚接触者になった80人は、翌日からまたリモートで授業を受けることに。長い休みが明け、ようやく学校へ行けると思っていた生徒にとってはとんだ災難だ。 こういう例を含め、コロナ2年目の夏は、人々の心の箍(たが)が昨年よりも緩んでいる印象がある。SNSにはハワイやニューヨークなどの観光地を訪れた知人らの写真があふれた。子どもからも「誰それはどこどこへ行っている」という話がいくつも聞かれ、ひっそりと過ごした昨年との違いを肌で感じた。ワクチン接種が広がり、社会全体に「もう安心」という空気が流れ始めていたのだから、それは自然なことだったかもしれない。 ところが、早期のワクチン普及を目指した政権の取り組みとは裏腹に、6月には接種率がスローダウン。デルタ株感染数の急上昇もあいまって、夏休み後半は穏やかどころではなくなった。だが、いったん「もう安心」の波に乗りかけた人々をつなぎとめるのは至難の技だ。 地域の学校区も、春の登校再開時よりずっと緩いプロトコルを採用し児童・生徒らを待ち受けた。マスクは必須だが、登校の際に校門で行っていた検温やアプリでの健康調査はすっかりなくなり、クラスごとにしか遊べなかった休み時間も「金曜日だけは解禁」という謎のルールに変更された。昼食が全員無料になったことはありがたいが、その長蛇の列に並ぶ間、互いの距離は確保できているのだろうかと新たな疑問も湧く。  「自分から起きて準備して登校するなんて初めて!」と喜びのツイートをした知人の息子は、満面の笑みで新学期を迎えた。コロナ陽性で登校してしまった生徒も、もしかしたら新学期を心から楽しみにしていたのかもしれない。全てのタガを今一度締め直すことが大切だ。【麻生美重】