長嶋茂雄、王貞治、ハンク・アーロン、カール・ルイス、ディエゴ・マラドーナ、ビヨン・ボルグ、アンドレ・アガシ、ジャック・ニクラウス、アーノルド・パーマー、ファラ・フォーセット、ロジャー・ムーア、ブルック・シールズ、ローリング・ストーンズなどなど。「数え切れない」というほど多くのセレブリティーと一緒に仕事をし、世界を飛び回った。
 元々は教育者。教育学と比較言語学を学んだ後、UCLAで教べんをとった。日系とユダヤ系のバイリンガルの子どものドキュメンタリーフィルムを作っていた時に、ハリウッドの業界関係者から「大学で教えるよりも映像の方が向いているんじゃない」と言われたのが、転身のきっかけ。「以前から、ゼロから発想しプログラムを作るプロデューサーの仕事にチャレンジしたかった」

北海道出身。中学の英語教師を経て渡米。UCLA大学院卒
 クリエイティブ・エンターテインメント・インターナショナル社を設立し、今年で39年になる。社名は「世界の人と楽しくクリエイティブな仕事がしたい」と思いを込め名付け、「その通りになった」と喜ぶ。手掛けるのはテレビコマーシャルを主にドキュメンタリーなど。セレブを使ったコマーシャルは当時誰もやっておらず、パイオニアで「何も宣伝しなくてもできた」という。カラーテレビが普及したのは同時期で、時代の波に上手くのり、景気も味方してくれた。
 セレブとの親交は長く続き、今夏はカール・ルイスとロンドン五輪で仕事をすることを楽しみにしている。WCBFの創設ディレクターを務め「王さんとハンクさんに引っ張られてきた」といい、21年継続。21日の記念行事では、殿堂入りした往年の名選手、大監督など旧友との再会を心待ちにする。
 忙しく世界中を転々とし、25年が経ったある日。ロサンゼルスの自宅にいる時間が少ししかない自分に気がつき、「日米交流の役に立ちたい」と思い立つ。フルブライト奨学金で大学院を卒業しただけにお世話になった恩返しにと、思いついたのはやはり奨学制度の確立だった。日本語教師を育成する「オーロラ奨学金基金」は、最初の目標の10年を優に超え、12年間で44人に授与した。
 それまで無縁だった日系社会だが、今では8つの有力団体に属し、奉仕で社会に尽くす。「グローバルから地域に溶け込んで、日系人の足跡も知ることができた。(本職を生かした)人とものを創るという『得意分野』で役に立てて、楽しくて幸せ」。「自分のことを後回しにしてきた」と献身を振り返り、今ほしいものは「自分の時間」。
 次男が昨年結婚し「家族が3人から4人になった」と喜ぶ。早く見たいのは、もちろん初孫。「また、新たな人生が始まる」と胸を膨らませる。今年は「おばあちゃん」の肩書きが加わることに期待を寄せる。【永田潤、写真も】

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