ロサンゼルス近郊では桜の花が咲き始めた。日本では美しい桜の花が咲き誇る中、入学式を迎える人も多いのではないだろうか。そんな日本で昨年から、欧米に合わせて大学の入学時期を4月から9月にすべきかどうか検討されている。背景には若者の「内向き志向」がある。
 国際的に活躍できる人材が求められる一方で、海外留学を嫌がる若者が急増。文部科学省の調べによると、2009年の海外留学生の数は5万9923人(うち米国は2万4842人)で、年々減少傾向にあるという。
 こうした事態を受け、海外の大学と入学時期を合わせ、留学をしやすくしようというのが狙いだ。ただ問題点もあり、日本の高校は卒業が3月なので、9月までの間、学生はボランティアなど有意義な活動に充てられるのかなどの指摘もある。
 留学にはお金もかかるし、加えてその経験が就職活動で直接採用に結びつかないというのも内向き志向に拍車をかける要因になっているという。はたして日本の若者の「外向き」への転換は可能なのだろうか。
 先日、佐賀県出身の大学生が米国で起業家精神を学ぶ「佐賀県海外使節団」がロサンゼルスを訪れた。幕末維新期の若者が欧米の政治や社会情勢などを学ぶため海を渡った当時の時代背景を再現した研修プログラムだ。
 この時、一行に大学生の現状について話を聞いた。彼らの周りの多くが留学に興味がなく、1番の関心事は就職活動なのだという。「普通の会社に就職して、それなりの人生が送れればいい」。そう考える人が多いそうだ。
 あえて海外に来た彼らは、そんな周りをみて「もったいない」と嘆く。「たった一度の人生。自分はそうはなりたくない」。グローバルに活躍する人と出会い、意見交換をすることで、視野を広げ国際的な見地から物事を見る重要性を再認識したようだった。彼らは確実に手応えを掴んで帰国していった。
 日本にいたら知ることがなかった世界や考え方に触れ、自分自身を成長させることができるのも留学の魅力のひとつ。ちょっと外を向いてみることが、後に人生を大きく好転させることにつながるかもしれないのだから。【吉田純子】

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