今年は、キリストの復活祭とお釈迦様の誕生を祝う花まつりが同じ日だった。教会やお寺に出かけた人も多かったことだろう。
日米文化会館ガーデンルームでの、LA仏教連合会主催の花祭りは天候もよく、花と緑に囲まれたいい環境だった。
「仏教と子どもたち」をテーマにした花祭りで、禅宗寺の寺子屋の子供たちが、元気よく歌い踊る姿は、お釈迦様の誕生を祝うのにふさわしく思えた。読経に安らぎを得、歌に息吹を感じた。小児科医でもある澄禅ベイズ師の講演は、日本にいたときに聞かされた、日本人としては当たり前と思える、足るを知る、七転び八起きなどが話された。日本には、子どもを育む上で必要なことを日常の生活の中で教え継いできた歴史があったと再認識した。
その歴史を同じく背負ってきた人たちも、この地で長く住み、異文化の人たちと交流しているうちに、受け継いできたものが変わっていくことがあるように思う。郷に入らば郷に従えというが、「自己」を重視するこのアメリカ社会にあって、心配したり慈しみの気持ちを掛け合いたいということが、通じなくてさみしい思いをしたという経験を持っている人もいることだろう。
そして、子どもを考えるとき何をどうするのがいいのか思うことがある。子どもにとって両親は大事だ。時に両親は離婚することがある。その時、子どもが父親と母親との間を行ったり来たりする場合がある。両親の考えや習慣を受け継ぐことを考えると、悪いことではない。しかし、二人の考えが相容れないような場合、子どもに混乱を与えないだろうかなどと。
子どもたちの未来は明るくあってほしい。子どもたちに託す未来について、大人がしっかり認識しないといけない。仏教の教えが受け継がれてきたことが一つの示唆となった。
自分はもちろん、回りも高齢者が多く、子どものカテゴリーから縁遠くなっていた身には、このイベントは刺激になった。LAにいると、日本にいたときよりお寺が身近にあってうれしい。仏教に接するというか、お釈迦様とふれあう機会が多いと感じる。ありがたいことだ。【大石克子】