60周年を祝う家元(左から6人目)と金井会長(右隣)ら同門社中
 茶道裏千家淡交会ロサンゼルス協会は、13日と14日の2日間にわたり、設立60周年を記念し、16代千宗室家元による講演会と記念茶会をサンマリノ市にあるハンティントン・ライブラリーで催した。新美潤・在ロサンゼルス日本国総領事をはじめ、南加地区在住の同門社中や茶道関係者らが集まる中、茶道の「一期一会」の精神をあらためて心に刻んだ。
扁額式が行われた「清風庵」で一服する家元(左端)
 13日にはハンティントン・ライブラリーの日本庭園にある茶室「清風庵」の扁額式も行われた。「清風庵」は、茶の湯の精神を米国に広める目的で、1964年に家元の祖父にあたる14代家元淡々斎によりパサデナ仏教会に寄贈された。今回、日本庭園リニューアルオープンに伴い、移築、再建され、この日披露されることとなった。家元は自身の祖父が深く関わった「清風庵」で、招待客らと一服をともにし、和やかな時を過ごした。
 家元は「祖父が築いてくれたご縁でロサンゼルスに来ることができてうれしい」と述べ、長年当地で茶道の普及活動に貢献してきた松本宗静・特別相談役や金井紀年会長らのこれまでの尽力をたたえ、祝福の言葉を贈った。
 講演会では千利休が唱えた、自分と他者を和み、敬い、清らかな心を持ち、いらないものをそぎ落としていく「和敬清寂」の精神論をあらためて説き、集まった400人は真剣な面持ちでその言葉の一語一句に耳を傾けた。
 2日目には記念茶会が開かれ、濃茶席に家元が招かれた。ともに訪米した今日庵理事の千万紀子氏、淡交会理事の伊住公一朗氏、裏千家調査役の大谷裕巳氏も出席し、当地の茶道関係者と一服を嗜んだ。
 淡々斎の掛け軸を前に「祖父は字がうまかった。私はどうもそのDNAを受け継がなかったようです」とユーモアたっぷりに述べると、客たちの顔もほころび、場の空気が一気に和んだ。
 同席した金井会長は、家元の父である15代家元の千玄室と同い年で、日本でも茶を共にした思い出がある。「16代家元は大変気さくな方。ロサンゼルス協会に新風を吹き込んでくれた」と述べ、2日間の交流を振り返った。
 松本特別相談役は、60周年を迎えたことに対し「感無量。60年前にロサンゼルスにまいた一粒のお茶の種が立派に育ってくれました」と述べ、茶の湯の精神は永遠に残っていくことを強調した。【吉田純子、写真も】
濃茶席に出席した(テーブル左端から右へ)家元、千万紀子氏、伊住公一朗氏

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