講演を行った奈良さんは「フラッシュダンス」や「バットマンリターンズ」など数々のハリウッド映画でスターたちのメイキャップを担当。メイキャップアーティストになる前はダンサーとして活躍しており、ダンサー時代に初めて沖縄を訪れ、その魅力のとりこに。以来年に1度は必ず訪れる「第2の故郷」になったという。
メイクの実演講習の前には、「真の美しさ」についての講演が行われ、「お化粧するのもいいけれど、目が輝いていなければ本当に美しいとは言えない」と断言。「食べ物に気を付け、常に笑顔で、人とのつながりを大切にすることが人を内面から輝かせる」と力を込めた。
メイクの実演ではモデルに島部長が指名され、「10歳若く、お嬢様風に」をテーマにベースメイクの基本をていねいに教えていく。肌の色にもっとも合うファンデーションは喉の色に一番近い色だ語り、顔の高いところ、低いところでリキッドファンデーションの色を使い分け、スポンジだけでなく、筆も使ってていねいになじませていく。仕上げにパウダーをはたくと驚くほど自然な仕上がりに。
残ったファンデーションも無駄にせず、腕から手にかけて塗り、指先まで丹念にマッサージしながら延ばす。「普段の生活の中でも手は人目につくところ。顔と手の色を合わせ、手も美しく見せることで印象は変わる」と教授した。
アイシャドー、アイライン、眉毛、チーク、口紅すべてのメイクが終わると、自身が被っていたウィッグを取り、島部長に付けて髪型をセットし完成。プロのメイクの仕上がりに参加者からは思わず感嘆の声が上がった。
島部長は「自分じゃないみたい」と満面の笑み。「今後のメイクにも生かしていきたい」と意気込んだ。
会場では奈良さんの著書の販売とサイン会も行われ、売り上げは敬老引退者ホームに寄付された。
「花ひとつにも『きれい』と思える心。ささいな日常をも楽しくする気持ちが美へとつながっていきます」。メイクの仕方だけ教えるのではなく、人として美しく生き、毎日を楽しく過ごすためのヒントがつまった講演会となった。【吉田純子、写真も】
