参加者に、「毎日笑顔で過ごすことが美へとつながっていきます」と説く奈良さん(右)
 北米沖縄県人会婦人部(島美恵子部長)は14日、ガーデナ市にある同県人会会館で日本人として唯一のエミー賞受賞メイキャップアーティストである奈良・佳緒里・ターナーさんを招き、「美容講演会」を催した。同婦人部のメンバーを前に、ベースメイキャップの仕方だけでなく、内面から輝く方法や笑顔の効能など、ユーモアを交えて説明。終始笑いが絶えない講演会となった。
筆を使い、ていねいに島部長(右)の顔にファンデーションをぬっていく奈良さん
 同県人会には琉球舞踊や民謡など、沖縄の伝統文化を継承する芸能部があり、毎年新年会やピクニックなどさまざまな場所で披露している。芸能部メンバーが舞台に立つ時はメイクをする機会が多いが、各自が自己流で行っているため、「舞台メイクにも生かせるように」との思いから講演会は開催された。
 講演を行った奈良さんは「フラッシュダンス」や「バットマンリターンズ」など数々のハリウッド映画でスターたちのメイキャップを担当。メイキャップアーティストになる前はダンサーとして活躍しており、ダンサー時代に初めて沖縄を訪れ、その魅力のとりこに。以来年に1度は必ず訪れる「第2の故郷」になったという。
 メイクの実演講習の前には、「真の美しさ」についての講演が行われ、「お化粧するのもいいけれど、目が輝いていなければ本当に美しいとは言えない」と断言。「食べ物に気を付け、常に笑顔で、人とのつながりを大切にすることが人を内面から輝かせる」と力を込めた。
比嘉朝儀さん(右)の顔に傷と火傷痕の特殊メイクを作っていく奈良さん 
 「スターがスタジオに入ってくる時は不機嫌なこともある。そんな時はジョークを言って笑わせると目の輝きがよみがえり、場の空気まで明るくなる」。アーノルド・シュワルツェネッガーやブルース・ウィリスなど、自身がメイクを手掛けたハリウッドスターとのエピソードを面白おかしく語り、「笑いの効力」について説明すると、参加者の顔にも笑みがもれ、その場の空気も一段と和やかになっていく。
 メイクの実演ではモデルに島部長が指名され、「10歳若く、お嬢様風に」をテーマにベースメイクの基本をていねいに教えていく。肌の色にもっとも合うファンデーションは喉の色に一番近い色だ語り、顔の高いところ、低いところでリキッドファンデーションの色を使い分け、スポンジだけでなく、筆も使ってていねいになじませていく。仕上げにパウダーをはたくと驚くほど自然な仕上がりに。
 残ったファンデーションも無駄にせず、腕から手にかけて塗り、指先まで丹念にマッサージしながら延ばす。「普段の生活の中でも手は人目につくところ。顔と手の色を合わせ、手も美しく見せることで印象は変わる」と教授した。
 アイシャドー、アイライン、眉毛、チーク、口紅すべてのメイクが終わると、自身が被っていたウィッグを取り、島部長に付けて髪型をセットし完成。プロのメイクの仕上がりに参加者からは思わず感嘆の声が上がった。
 島部長は「自分じゃないみたい」と満面の笑み。「今後のメイクにも生かしていきたい」と意気込んだ。
 会場では奈良さんの著書の販売とサイン会も行われ、売り上げは敬老引退者ホームに寄付された。
 「花ひとつにも『きれい』と思える心。ささいな日常をも楽しくする気持ちが美へとつながっていきます」。メイクの仕方だけ教えるのではなく、人として美しく生き、毎日を楽しく過ごすためのヒントがつまった講演会となった。【吉田純子、写真も】

顔に傷と火傷痕の特殊メイクをした比嘉朝儀さん(右から順に)と奈良さん、ウィッグを被りメイクが完成した島部長

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