松前会の「もみすり唄」。唄は小田和男さん
 南加日本民謡協会(鈴木博久会長)は16日、トーレンスのジェームズ・アームストロング劇場で「秋の民謡・民舞ショー」を開催した。協会に加盟する7団体が日本各地に伝わる民謡を披露、訪れた約300人の観衆が懐かしい地唄や踊りに拍手喝采を送り、芸術の秋を堪能した。
豊春会の「原釜大漁祝い唄」
 鈴木会長があいさつに立ち、同ショーについて説明し「民謡協会の年に1度のリサイタルであり、各会主はもとより生徒もこの日のために精進し、最高のショーを多くの人の前で披露し光栄に思う」と謝意を表した。「民謡は『心の故郷』である」と力を込め、「昔から歌い継がれてきた郷土の歌を聞くたびに、望郷の念にかられることが多々あると思う」と、その魅力を紹介。各社中に向け「民謡をここロサンゼルスで後世に残そうと一生懸命頑張っている会主と、それを受け継ぎ精進する生徒に心より敬意を表したい」とたたえた。多くの観衆に対しては「努力に努力を重ねた結果を本日ここで披露する。声援と盛大な拍手が、今後の練習の励みになることは確実である」と、ショーの盛り上げ役として期待を寄せた。
 南加県人会協議会から来賓として副会長の当銘貞夫さんが参加した。同協議会は、民謡を含む日本文化の奨励を活動目的の1つに掲げている。将来有望な若い文化継承者の育成に努め毎秋、親睦演芸会を開き奨学金を授与しており、過去の受賞者は同ショーや他の文化行事に参加するなどの活躍を見せている。沖縄出身の当銘さんは、あいさつで「今日のプログラムには、北海道から九州まで揃っている。でも沖縄は一切ない。今日は本土の民謡をエンジョイしたい」と冗談交じりに話し笑いを誘った。
 南カリフォルニアで活動する7つの民謡団体で組織する民謡協会。
「盛岡からめ節」を踊る菊田会の会主山口淑子さん(左)とビバリー・トオヤマさん
加盟団体は松前会(松前勝清会主)、菊田会(山口淑子会主)、松豊会(佐藤松豊会主)、竹嶺会(木津嶺志津会主)、日本民踊研究会豊春会(橋本豊春美会主)、日本民踊研究会豊渕会(江見豊浄渕会主)、日本民謡研究会寿の会(井本豊寿会主)。
 恒例のショーでは各社中が、2部に分かれ郷土色豊かな計31演目を披露した。総勢約150人の出演者が曲に合わせた着物や浴衣、法被姿で晴れの舞台を踏み、日頃の稽古で鍛えた成果を発揮。大小の太鼓や三味線、鉦の演奏に合わせた唄と踊りで魅了した。3、4歳の小さな子供たちが舞台で愛くるしい踊りを見せると、「かわいい」などの声援が飛び、華やかな舞台を一層盛り上げた。最後は出演者総出で炭坑節を輪になって踊り、フィナーレを飾った。
 南加日本民謡協会は来年、創立50周年を迎える。3月の親睦会で祝賀会を開き、秋の民謡・民舞ショーは記念公演とし、大きな節目を盛大に祝う考えを示している。【永田潤、写真も】
振り袖を着て唄う松豊会のメンバー

豊春会の「真禄花見踊り」

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