スタイリングを手がけた君野さん(前列右から4人目)と出演したモデルら
着物とエプロンを合わせて登場したアリス
同書店は中古書籍の販売と買い取りを行い、年代物の書籍のほか、写真集やレコードなども取り揃える。店内には自由を求め本棚から鳥のように飛び立とうとする本のモニュメントや、本の置物を積み重ねて作ったトンネルなどがあり一歩中に入るとそこはまるで異空間。
テーマは「不思議の国のアリスのキャラクターを着物で表現する」というもの。舞台は書店なので米国人にも馴染みのある物語をテーマにできないかと考えていた時、「会場の雰囲気に合っている」とまず頭に思い浮かんだのがアリスだった。
モデル1人ひとりにキャラクターがついており、アリスのほか、チェシャ猫、白ウサギ、眠りネズミなど総勢10人が登場。役柄に合わせてスタイリングした。
着物はロサンゼルスのほか、日本からも調達し、アンティークが4枚、そのほかはすべて現代もの。小物はロサンゼルスのフリーマーケットやビンテージショップで揃えた。「キャラクターのイメージに合った着物や帯を探し出し、そこにアリスの世界を融合させるのが難しかった」と君野さんは振り返る。
色鮮やかな着物と帯もスタイリングによって大正ロマンを思わせるようなレトロな雰囲気を醸し出し、モデルの髪型やメーキャップ、小物使いを工夫してアリスの世界観を演出した。
「米国人にも日本の着物を身近に感じてもらい、どんな場所にも合うことを知ってもらいたい」。最近ウェブサイトを立ち上げ、自らスタイリングした着物ファッションをロサンゼルスのカフェなどで撮影し、写真を紹介している。
ショーは入場無料で、同書店からの告知とFacebookでイベントの案内を出したが、コーヒー片手に書店にフラッと立ち寄ったという観客の姿もあり、日本の着物に興味を示したようだ。
「今後もファッションやアートに敏感なロサンゼルスの人たちに着物のデザインの面白さや色の組み合わせの楽しさなどを知ってもらいたい」と意気込む。【吉田純子、写真も】