ウエストウッドにあるロナルド・レーガンUCLA医療センターは18日、患者7人が抗生物質に耐性をもつ細菌「スーパーバグ」に感染し、うち2人が死亡、179人に感染の疑いがあると発表した。

 同センターによると、この「スーパーバグ」と呼ばれる細菌はカルバペネム耐性腸内細菌(CRE)で、外科手術後など感染防御機能が低下している患者に多く感染する。肺炎など呼吸器や手術部位の感染症、医療器具を通して感染する血流感染症のほか、髄膜炎などを引き起こし、院内感染の原因になることもある。
 食品医薬品局(FDA)は19日、同センターで使用していた十二指腸内視鏡が感染を引き起こした可能性があると発表。内視鏡の複雑なデザインが、効果的な除菌洗浄を妨げる可能性があると警告した。
 十二指腸内視鏡は咽頭部から管を挿入し、食道、胃、十二指腸までを観察する医療機器。先端に小型カメラとライトが取り付けられており、医師がその場で画像を確認できるようになっている。
 使用後は細部に至るまでていねいに洗浄し、除菌するよう取扱いには注意が必要とされている。同センターではメーカーの取扱い指示に従って殺菌されていたが、CREが付着したままだった可能性があるという。
 患者は昨年10月3日から今年1月28日の間に内視鏡を使った検査や治療を通して感染した可能性が高く、同センターでは、感染が疑われる患者には無料の検査キットを発送し、感染の有無を調べていくとしている。
 感染源になったと思われる2つの内視鏡は新しく、昨年6月から使用されていたものだという。事態発覚後2つはすぐに処分され、同センターでは除菌手順をさらに強化した。
 感染者のひとり、18歳の学生は内視鏡を使ったすい臓の病気の検査のため12月に同センターに入院した。入院当時、体調は良かったというが、検査後に容体が急変。重体となり、83日間の入院を余儀なくされた。その後退院したが、再び容体が悪化し、再入院した。
 学生の両親は内視鏡を製造したメーカーを訴えるか現在検討中だという。
 同センターで使用されていた内視鏡を製造していたのは日本の電子機器メーカー「オリンパス」の米子会社。今回の事態を受け、内視鏡の細部まで除菌洗浄を適切に行うことの重要性を強調するとともに、政府機関と協力して問題解決にあたっていくと声明を発表した。
 米国で十二指腸内視鏡を使った検査は年間およそ50万件行われている。CREに血流感染した場合の致死率は40%から50%といわれている。19日に行われた記者会見で、LA郡公共衛生局のベンジャミン・シュウォーツ医師は、今回のCRE感染の流行は一般市民に脅威をもたらすものではないと話している。

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