人口約7500人という小さな鹿屋市吾平町に対し、ロサンゼルスは宝満さんと福留にとって大都会である。ダウンタウンの摩天楼、建物の大きさ、フリーウエーの広さと交通量の多さ、米国人の体格、食事の量の多さなど、スケールが違い「すべてが大きく、びっくりしている」と圧倒されながらも、そこは順応性に富んだ子供たち。ハリウッドサインや海に沈む夕日など、見るものすべてに感動し、興味津々でカメラを構えて夢中でシャッターを押していた。
日本人町の存在を知らずに小東京を訪れ、お寺に櫓、日本料理店、漢字や平仮名で書かれた商店の看板を目にし「日本にいるみたい」と驚いたという。全米日系人博物館の見学では、農業移民の不撓不屈の精神に感銘を受け、夫妻からは116年の歴史を持つ鹿児島県人会について教えられた。鹿児島からの移民について宝満さんは「アメリカのことを何も知らないのに移り住んで、頑張って働いてすごいと思う」。福留さんは「言葉が通じずコミュニケーションが難しかったと思う。そういう努力を見習いたい」と、刺激を受けた様子だった。一方で、排斥運動や第2次大戦にともなう強制収容など、日系史に残る被差別も学習した。
女子プロゴルフの大会を観戦したのは、今季から米ツアーに本格参戦した鹿屋出身の横峯さくらさんを応援するためだ。「頑張って下さい」の声援は届き、横峯さんはイーグルを記録するなどの活躍で8位タイの好成績を挙げ、翌週のメジャー大会の出場権を獲得。試合後は、サインをもらって郷土の英雄と記念写真に納まった。
2人は、さまざまな体験を通じて海外志向を高めた様子で、福留さんは
同プログラムは今年が初めてで、朝倉夫妻は今後、鹿屋から毎年、春休みに生徒を迎える意向を示している。貴代さんは、プログラムについて「鹿屋は田舎なので、子供たちにアメリカを見るチャンスを提供し、世界に出るきっかけを作りたかった」と説き、今回の2人については「アメリカで見聞きした体験を大切にし、将来に役立てて、大きな夢を持って成長してほしい」と願った。【永田潤】