スポーツの祭典といえば、真っ先に思い浮かべるのがオリンピック。そしてもう1つ、同じ4年に1度開かれる世界大会がある。そう、知的障害を持つ人たちのスペシャルオリンピックスだ。ここロサンゼルスに165カ国から約6500人が集まり、25日から来月2日まで繰り広げられる。あまり知られていないので、この場で、大きな声で紹介したい。
開幕前に各国の選手団は、ホストタウンのコミュニティーを訪れ、さまざまなすばらしいプログラムに参加し、国際交流を図る。私は、日本チームが3日間滞在したウエストコビナ市で取材する幸運に恵まれた。市が音頭を取り、市民一体となり、熱烈な歓迎でもてなしてもらい、ありがたく思う。
先日載せた選手団の歓迎会の記事で、書けなかった感動を紹介したい。地元高校生が、君が代を演奏した。初めは「うまく弾くなー」と、くらいしか思わなかった。そこに、合唱が響き出した。録音だろうと、関心は薄かった。ふと振り返ると高校生が合唱している。録音だと勘違いしたのは、あまりにもきれいな日本語のためだった。
君が代は、2度斉唱してくれた。同じ曲を繰り返し聴けば普通飽きるもの。だが、アメリカ人に歌詞を覚えてもらったことがうれしく、「アンコール!」と叫びたいほどだった。日本選手を励ますために「猛練習した」という同校合唱団には、君が代を他でも発表し、後の代々までずっと歌い継いでもらいたい。
日本選手に話を聞くと、何でも素直に答えてくる。年齢層は20代から40代くらいだが、純真な心を持ち、子どものように喜びを素直に表現する。両手を大きく広げたり、跳びはねたり、全身を使って表し、輝く笑顔がたまらない。
市民との交流で、たくさんのエナジーをもらった日本選手は大会に臨む。世界の同士たちとの交流の輪を思う存分に広げ、大きく成長してもらいたい。「がんばってね」と声をかけると「日本のために、がんばります」と答え、国の代表としての自覚を持つ選手も多く、頼もしい。世界から集まった選手は、大きな声援を待っている。応援に繰り出そう。【永田 潤】