カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事は8日、ロサンゼルスを訪れ、温室効果ガス削減に向けた2法案に署名した。法案はフラン・パブリー加州上院議員(民主・アゴラヒルズ)が提出した「SB32」と、エドゥアルド・ガルシア加州下院議員(民主・コーチェラ)が提出した「AB197」の2法案。【吉田純子、写真も】
ブラウン知事は50年までに、同州の温室効果ガスを最終的には1990年比で80%削減することを目指している。
AB197は大気汚染が深刻なコミュニティーへの被害拡大を防ぐことを目的に、カリフォルニア州大気環境管理局に対し、影響を受けているコミュニティーへの監視をより一層強化し、改善に向けた取り組みを実施する法案となっており、気候変動対策プログラムを増やすことも組み込まれている。
また今後、二酸化炭素を排出するガソリン車やディーゼル車などに対する規制強化や、低公害車の販売促進、基準を超えて大気を汚染した企業に対し公害税を課税するなど対策が検討されている。
カリフォルニア州の行政や財政状況などを監視するカリフォルニア州議会法制分析局(California Legislative Analyst’s Office)は、温室効果ガスの排出権取引制度「キャップ・アンド・トレード」の歳入から莫大な予算が投じられているにも関わらず、温室効果ガス削減の効果が現れていないとする調査報告書を今年はじめに発表。
署名式典でブラウン知事は「両法案は全米のなかでも温室効果ガス削減に向けた法案でもっとも高い目標を設定している。カリフォルニア州は気候変動対策に積極的に取り組み、他州をリードしていかなければならない」と話した。
昨年9月には当地LAで同市をはじめ米国と中国の主要都市の代表者が集まり、地球の温暖化問題について話し合う「気候変動対策サミット」が開催され、ブラウン知事をはじめ、ジョー・バイデン副大統領も参加し温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みの重要性が話し合われた。
2025年までに石炭依存からの完全脱却を目指し、再生可能エネルギー促進計画を実施するLA市ではグリーンエネルギー分野の雇用を創出し、ロサンゼルス市警察(LAPD)をはじめとする行政機関で電気自動車を導入するなど温室効果ガス削減に向けた取り組みが行われており、エリック・ガーセッティー市長も「両法案は世界各国が気候変動問題に取り組む中、歴史的な法案となった」と法案成立を支持する声明を発表した。