加州稲作のパイオニアである「国府田農場」の厳選されたオーガニック米販売を本業とし、このお米を広く知ってもらうため「RICEMAN」を立ち上げた。数種類あるオーガニック米のなかでも、岡野さんがとくに勧めるのは発芽玄米だ。通常の玄米よりも炊きあがりが柔らかく食べやすい。栄養価も優れているため、メニューの値段は白米よりも1ドルずつ高くなるが、玄米を選ぶ客は多いそうだ。
「国府田農場」を舞台にしたドキュメンタリー映画『SEED』をプロデュースするなど、岡野さんのお米に対する思いは深い。エンターテインメント畑に籍を置いているため、その筋からの技術も有効に活用している。聞けば映画機材のレーザーで海苔を切るのだそう。繊細な模様が切り抜かれた海苔がスパムむすび(白米6ドル、玄米7ドル)に巻かれていく。「お米も野菜もすべてオーガニック。でも、一番人気なのはスパムむすび!」と実紗さんは笑う。健康志向の人にも、なぜかスパムむすびは大人気らしい。
買い物客のスージー・桑原さん(90)は「手軽に持ち帰りできて新鮮で味も良い。火曜と日曜は毎回立ち寄る」と答えた。トーレンス在住の男性はメニューを眺めながら、「娘に頼まれて買いに来た。自分も食べてみようと思う」と興味のあるようすで語った。
お米を売っているうちに岡野さん自身が「RICEMAN」と呼ばれるようになった。ブースもそれにちなんで迷わず命名。立ち上げ当初は苦戦したものの、インスタグラムへの投稿から話題が広がった。取材中も注文の列に切れ間ができることはなかったほど。
今年初めに完成した短編映画『The Oak Tree and Onigiri』では、制作のほか俳優として出演もした岡野さん。「映画の中でも同じように、役柄としておにぎりを作ってますよ」二足のわらじを上手に履きこなしながら、おいしい日本食の普及に貢献している。
RICEMAN
火曜日・土曜日 トーレンス ファーマーズマーケット
Tuesdays from 8 a.m. to 1 p.m.
Saturdays, 8 a.m. to 1 p.m.
Charles H. Wilson Park 2200 Crenshaw Blvd.
火曜日 マービスタ ファーマーズマーケット
Sundays from 9a.m. to 2p.m.
Grand View at Venice Blvd.
【麻生美重・写真=マイケル・ヒラノ・カルロス】
The Oak Tree and Onigiri
www.onigirifilm.com/
Seed (国府田農場創立者 国府田啓三郎から孫の三代に渡るお話)
www.seedfilm.life/
