少し前にぼろけたジーンズについて書いたが、今回は機能性について。ファッションとしての地位が向上し、その機能性に関して忘れられがちのジーンズ。だが、多数の男性はズボン(この言葉、その起源は?)のポケットに貴重品を入れている場合が多く、カタチや色などと同様かそれ以上に作りが重要だ。
 使いやすさから生まれたのかはハッキリしないが、完成度の高い設計だ。炭鉱労働者の重労働に耐え得る強固な生地を使い、カウボーイが馬に股がって作業をしても、前のポケットからは中に入れたものがそう簡単には飛び出さない。右側にはコイン用も付いていて、スケボーを楽しむ人たちにも問題のない作りではないだろうか。
 通常のズボンの場合、自分の膝より低い椅子に座り、足を組んだりすると前ポケットの中身が滑り出てくることがある。フロアに落ちれば音で分かるが、座っている椅子やソファーの上に落ちた際は、音にも気づきにくい。 最近は上着を着用しない場が増え、ズボンのポケットの重要性は高い。
 後ろのポケットもその大きさ、深さ、位置が通常よく計算されていて、二つ折りの財布や携帯も簡単には飛び出さない。左右の位置もスタンダードなデザインのものは、入れたものの上に座ることにならず、長時間座ったままでも尾てい骨などに与える悪影響は低い。長時間のミーティングや映画、とくに旅行の際にはこの辺りのことは重要なポイントだ。
 最近ではいろいろな生地で作られているが、多勢は藍染めのデニム。その昔カウボーイが荒野で出会うガラガラヘビが嫌いなインディゴを使って染め上げたとのことだ。ただ天然のものでないと効果はないようで、人工のもので染められた最近のジーンズでは、残念ながらガラガラヘビに噛まれてしまうだろう!
 ブルージーンズで一つ改善してほしいのが生地の厚さだ。通常の14オンスのジーンズは、夏には暑く冬には寒い。薄手の12オンス(?)でも、夏場は暑く冬は寒さが骨にしみる。日本のアパレルメーカーUはこの辺りに配慮した生地や裏地のあるものを、季節にあわせ用意していてくれてありがたい。【清水一路】

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