日本から三味線の笹本流家元・笹本壽師を招き、日舞の坂東秀十美社中、坂東拡三也社中と共演。新名取のお披露目と同会の53周年を盛大に祝った。
晴れて名取となったのは佐藤松豊葵、佐藤松豊毬、佐藤松豊庵、佐藤松豊吉、佐藤松豊成の5人。第2部の冒頭、5人は順に唄や弾唄を発表し、師匠や応援に訪れた家族、友人らに研さんを積んだ姿を披露した。
佐藤松豊美月師範によると、通常の舞台では三味線と唄は別の人が担当する。弾きながら唄うというのは相当な技術を要するため、美月師範は「間違えてもご愛嬌」とほほ笑む。
民謡を習い始めたばかりというバレービレッジ在住の戸田千秋さんは、客席から先輩たちの歌声に聴き入った。「民謡は息の出し方や発声の仕方が独特で難しい」戸田さんは普通の歌と民謡は違うと感じる。「しろうとは10秒間ほどしか続かない息が、プロは40秒間続く。音域も高い」。声が低めという戸田さんは「少しでも高くなるようにがんばって練習中」と語った。
新名取、松豊吉の応援に来たというパロスバーデス在住の石井陽子さんは「今年もすばらしいパフォーマンスだった。ゲストの笹本さんの演奏も堪能した。来年も楽しみにしている」とエールを送った。
温習会を終えた新名取は、今後の意気込みを語った。
松豊葵「初めて進行、司会に関わった。これからも皆に楽しんでもらえるよう尽力したい」
松豊毬「仲間やお客さまからの言葉に感謝して『名取』にふさわしくなるよう精進したい」
松豊庵「松豊先生の名前をいただいた者として、真に精進していきたい」
松豊成「数少ない男性歌手としても民謡の良さを伝えていきたい」
松豊吉「(民謡を)細く長く続けていこうと思う。忍耐強い師匠に感謝している」
会を終えた松豊師は「内輪だけでなく、一般の方に(おさらい会を)見てもらうことで励みになる。今年も大勢の方に来てもらえて良かったと思う」額にうっすらと汗を浮かべ、安堵の表情を浮かべた。 【麻生美重】