「イチ、ニイ、サン」の掛け声に合わせ、元気よく餅をつく子どもたち
 ウエストコビナの東サンゲーブルバレー日系コミュニティーセンター(ESGVJCC)の日本語学校(智子・クワン校長)は年末の恒例行事、餅つき大会を15日、同センターの中庭で開いた。生徒約80人と教師、ボランティアスタッフ、父母ら約100人が参加し、掛け声に合わせて力いっぱいに餅をつき、迎春準備を整えた。

ついた餅を食べやすい大きさに丸める生徒
 日本語の授業は毎週土曜の午前9時から午後12時半まで、幼稚園児から小、中、高校生までの生徒約80人が8学年に分かれ学んでいる。クワン校長によると、授業は読む、聞く、書く、話すを基本にするが「学校は週1回なので、紙と鉛筆を使っての授業では、どうしても無理がある」と説明する。生徒により高い学習意欲を持たせるために、日本の伝統行事を取り入れ、文化の体験学習に力を入れているという。
 年中行事は、年初の書初めに始まり、節分には鬼に扮する父母に向け豆を撒き、ひな祭りはひな人形を飾りひな餅を食べる。春はセンターと合同の桜祭り、5月の子供の日、夏は盆祭り、暮れの餅つき、年越しそば、年賀状を書いて展示などと続く。学習発表会を数カ月毎に開き、スピーチや寸劇を父母を前に披露している。生徒は日本の風習を学びながら語学を習得しておりクワン校長は「できるだけ毎月いろんな年中行事を催している。生徒はみんな頑張ってくれている」と、誉める。
丸めた餅にきな粉やしょうゆをかけたり、磯辺餅、あんこ餅にする子どもたち
 この日の餅つきは、スタッフと父母が用意したもち米を大きな臼に入れ、年少から順に「イチ、ニイ、サン」の掛け声に合わせ、元気よくぺったん、ぺったんとリズムよくついた。生徒は、つきたての出来立てほやほやの餅を食べやすい手の平にのる大きさに丸くこねて、雑煮に入れたり、餅粉をつけたり、磯辺餅にしたり、きな粉やあんこ餅、しょうゆを掛けて食べ「おいしい」と口を揃えた。
 ロサンゼルスに住む2年生のコウジ・シャー君は、餅つきは昨年に次ぎ2度目。自分の身長ほどもある大きな杵をつき「杵は5ポンドほどの重さがあって大変だったけど、10回以上ついておもしろかった」と述べ、ついた餅は「しょうゆをかけた餅が一番おいしかった」と笑顔で答えた。日本語は3年習っているといい「英語に比べてとても難しいけど、クラスはおもしろい」と話した。
 文化の体験学習についてクワン校長は「今の日本では、伝統行事の習慣が薄れているのではないかと思う」と指摘する。一方の同校は「30年以上もこういったいい習慣が続いている。今日は、子供たちが『日本では、こうやってお餅をついて、食べるんだよ』ということを学べたと思う。体で覚えたことは忘れないので、次の世代にも伝えていきたい。日本文化を中心にいろんなことを体験させて、学校に来るのが楽しいと思ってもらいたい」と、抱負を述べた。
自分たちで作った餅を披露する子供たち
 餅つきの後は、同センターが所在するウエストコビナが姉妹都市提携を結ぶ栃木県大田原へ交換学生を派遣するプログラムの資金集めのためのランチョンが開かれた。寄付者などの支援者を招き、会員が食堂で調理した牛丼とサーモン丼を参加者約230人に振る舞った。
 同センターでは、仏教会や日舞、華道、盆栽、茶道、書道、琴、柔道、剣道、合気道、太鼓、空手、バスケットボール、ダンス、フラダンス、ヨガ、コンピュータ、日本料理、カラオケなど20以上の団体が活発に活動しており、地域の日系コミュニティーの中核をなしている。
 センターと日本語学校については、電話626・913・0622。
 ウエブサイト―
 esgvjcc.org【永田潤、写真も】

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