試飲者に自社商品を説明する柳田さん(左から3人目)
 農水産物など県産品の米市場での開拓に力を注ぐ宮崎県が、焼酎の認知度向上と輸出拡大を目的としたプロモーションイベントをLA2カ所で行った。3蔵元と来米した宮崎県経済交流局グローバル戦略担当の大隅崇行さんは、数ある県産品の中から焼酎に絞った海外でのPRは珍しいと言い、県の意気込みを感じさせた。

セミナーを行うペレグリニさん
 出荷額5年連続日本一を誇る宮崎から落合酒造場、京屋酒造、柳田酒造の3蔵元が売り込みに努めた。5日はウエストLAで映画関係者などセレブリティーを対象に、6日は日米文化会館で日系人を主な参加者とした一般約60人を相手に試飲会を開いた。
 米国で人気の日本酒に比べ焼酎の知名度は低いため、焼酎を紹介した著書を持つクリストファー・ペレグリニさんを招きセミナーを開いた。参加者は蒸留酒の製造方法からコメ、芋、麦、そば、黒糖など原料の多さや、水割り、ロック、お湯割り、カクテルなどのおいしい飲み方の基礎を身につけてから試飲を行った。
 ワイン好きの母マルシアさんと参加したロサンゼルスに住むリリアン・アズベリーさんは、立命館大に1年間の留学経験があるため日本食の味を知る。焼酎はロックでライムを絞って飲むのが好み。米国ではラムやジン、テキーラなどと同類の蒸留酒として紹介されている焼酎だが「ショットで飲むのとは違い、日本酒と同じで味わって飲むもの。日本料理を食べながらゆっくりと味わって飲めば、アメリカ人にもおいしさが分かってもらえると思う」と述べた。
試飲会では各蔵元の自信の焼酎が振る舞われた
 1902年創業の柳田酒造5代目の社長柳田正さんは、「日本、宮崎が誇る素晴らしい蒸留酒を世界の人々に知らせ、飲んでもらい感動させたい。日本食の波に乗るのは今しかない」と2年前に米進出した。日本では自社の商品はすべて売り切れるといい、米国向けは麦一本に絞り、さっぱり、濃厚、オークで熟成させたウイスキーのような風味の3種類を用意し、売り上げは着実に伸びているという。今回の2カ所で試飲会について「今まで焼酎の存在を知らなかった人から『おいしい』と言ってもらった。味を知ってもらえれば飲んでもらえることが分かった」と手応えをつかみ「試飲会は続けないと意味がない。種まきをするつもりで続けたい」と抱負を述べた。【永田潤、写真も】
米焼酎を試飲するリリアンさん(左)と母のマルシアさん

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