「1人1台の端末」。これは日本政府が5日に閣議決定した経済対策の目玉で、国内の小学校3年生から中学校3年生に1人1台のコンピューターを支給するというもの。現在の県別のランキングでは1位の佐賀県が1・8人に1台、最下位の愛知県は7・5人に1台となっている。
 当地の公立学校の状況はどうだろう。学校区、学校、学年が同じでも教師によって授業内容やその質が大きく異なるロサンゼルスのこと。「学校区ごとの大きな差」がまず予想された。当座の調査ではあるがLA周辺の異なる学校区に住む親10人に「端末の種類と数量」をたずねてみた。
 LA統一学校区に住むAさんは「同じ学校区でも違いがありPTAの影響力でも差ができる」と前置きし「小学校では1人1台は程遠い」と話す。ミドルスクールでは教科ごとに教室を移動する。Aさんの長男が通った学校ではその教室ごとに生徒の人数分のクロームブック(グーグルのノートパソコン)がある。
 バーバンク市のBさんは「1人1台ない」と回答。コンピューター学習の時間は端末の置かれた教室へ移動するが人数が多く端末が足りないことも。それでもオンラインで宿題が出るため「仕方なくクロームブックを買った」。財政的に苦しい学校区では家庭の負担につながることもわかる。
 アルハンブラ市のある学校の5年生は授業でPCを使うものの1人1台ではない。モントレーパーク市のある学校はコンピュータールームが2部屋あり、各部屋に30台ほどのPCを設置しているが一般の教室ではPCを利用しない。
 一方で、グレンデール学校区日本語イマージョンプログラムの学校の4年生の教室では児童数以上のクロームブックを管理。サウスパサデナの小学校ではキンダーから端末に触れる機会があり、3年生以上になると個人専用のクロームブックやiPadを渡される。
 当地では子どもたちの日常的な端末利用のためのソフト開発が進んでおり、教師が授業や宿題で使うプログラムには選択肢がある。日本政府はソフトとハードの両面から現場を支え、単なるばらまきに終わらせないよう尽力すべきだ。【麻生美重】

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