引退後に日本へ帰国する人が増えている中、応募者は米国に骨を埋める決心をした人ばかり。夫婦や単身などさまざまで「経済の行き先が見えず、家のレントがいくら上がるのか心配」「この先自分たちが年をとって、生活がどうなるのか分からないので今のうちに入りたい」などと、応募の理由を語った。
申し込み書は英語のみで書かれ、問いにある所有する住宅などの資産や家族構成など専門的な用語に答えるのは日本人には難しい。携帯電話を片手に意味を辞書で調べたり、書き込みを手伝う日本語と中国語、韓国語を話す係員が対応に当たった。
メトロのバーモント/サンタモニカ駅の近くに住んでいる濵川修治さん(74)は現在はアパートに住んでいるが、オーナーの変更による家賃の値上げに備えて応募したという。小東京には思い入れがあり、小東京で煎餅とおかきを製造販売していた「ウメヤ」に長年勤務し、引退後も日本食料品の買い出しに毎週、訪れているという。3年前ごろからリトル東京タワーズの入居を考え始めたといい「やっぱりリトル東京は、住みやすくていい。日米文化会館やアラタニ劇場、スポーツの武道館ももうすぐオープンし、祭り(二世週祭)もあって活気がある。買い物が便利でバス、電車などの公共交通の便がいい。すぐにでも入りたい」と、声を弾ませた。新潟から40年以上前に渡米したが「英語が苦手なので、ここは日本語を話すことができるのでいい」と、笑顔で話した。
行列に並ぶ応募者を見て、アパートの日本人住人が次々に訪れ、部屋の広さや公共料金代、部屋から望むダウンタウンの夜景の美しさなどの暮らしぶりを紹介していた。
リトル東京タワーズに10年住んでいる樋口正子さんは、日本人の入居を仲間が増えると歓迎する1人。アパートの住人は、十数年前から日本人が減り、他の国出身者が多くを占めていることを嘆いている。「このアパートはコミュニティーの財産。日本人が多く住んで守りたい」と力を込めた。
入居は受け付け順で、応募用紙に記入漏れなく書き込み、受理され次第、入居待ちリストに名前が載る。入居を待つ期間は、空室状況によるが現在は約3年だという。
この日、応募を受け付けたスタッフによると、募集は応募状況によるため期間は定められていない。今回のような複数の応募者を一度に受け付けるのは11日までの2日間に限り、その後はアパート1階の事務所で随時受け付ける。
入居希望者は、アパート事務所に午前10時から正午までと、午後2時から4時までの間に直接来て申し込む。日本語を話すアシスタントが必要ならば事務所で申し出る。詳細はリトル東京タワーズまで、電話213・622・3076。【永田潤、写真も】
東京タワーに入居申し込みをしたいのですが、申し込み方法を教えてください。