郡公衆衛生局のバーバラ・フェラー局長は、「私たちはコミュニティーパートナーと協力して、アフリカ系米国人の不釣り合いな死者数に対応して新型コロナウイルスに関する正確な情報と陽性検査、および医療サービスを提供をする」と話した。
同氏は、郡全体で検査数が増加している一方で、裕福なコミュニティーは検査へのアクセスがはるかに勝っていることをデータが示していると認めた。さまざまな専門家が新型コロナウイルスとの闘いにおいて少数民族や移民の人々が医療にアクセスできるようにすることの重要性と、データ収集の必要性を強調している。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校のタン・ニュエン医師はルイジアナ州やシカゴなどをアフリカ系米国人の死亡率が高い地域だと指摘し、「驚くべき格差がある」と言った。「これらの格差が全米で見られたとしても驚かないが、問題はデータがないこと。ニューヨークとカリフォルニアは人種データを報告していない。人種と民族に関するデータが不十分だ」
同医師によると、アフリカ系米国人は歴史的に既存の医療健康システムを信じない傾向があり、全般的に健康状態の悪い人、糖尿病などの慢性疾患を抱えている人が多いという。「この国では、慢性疾患にかかっても貧しければ薬も買えず、治療も受けずに死んでいくことになる」と話す。また、「私たちの心は偏見に縛られている。医学界にも偏見がある。偏見は行動、診断、治療にも影響し、患者が命を落とすような致命的な過ちを犯す原因となることがある」とも話した。
経済刺激策と失業保険申請
内国歳入庁のサービス&執行部の副委員長のスニータ・ロウ氏は、すでに給付がスタートした国民への1200ドル現金給付について、いくつかの洞察を提供した。まずは2018年または19年の確定申告を提出した人の中で還付金の受取先に銀行口座を指定した人に対し、送金が始まっている。「口座情報のない個人には小切手を発行するが、発送開始までには時間がかかる」と言い、自分宛の給付の状況を確認できるGet My Payment(www.irs.gov/coronavirus/get-my-payment)と呼ばれる新しいオンラインページがあることを紹介した。また、「詐欺に注意するように! すでに詐欺師、ペテン師が横行している。給付金を受け取ることができるという言葉にだまされ個人情報を伝えないように」と注意を促した。
議会は現在、追加の経済刺激策に取り組んでいる。移民擁護の連邦団体、「ザ・イミグレーション・ハブ」のケリー・タルボット部長は、次の給付金には、移民、一時的なビザのステータスの人、米国市民と滞在許可証のない人が混在する家庭が対象に含まれることを期待していると説明した。「これまでに可決された法案は、DACA(若年移民に対する国外強制退去の延期措置)を受けている人々を含む移民に十分な援助を提供していない。緊急メディケイドの対象にならない人々が医療ケアを利用できないことを懸念している。誰もが検査や治療を受けられるようにする必要がある。少なくとも米国で生まれた全ての人が給付を得られるべき。彼らの多くが医療従事者、農場労働者などエッセンシャルサービスに従事している。彼らが住居の家賃を払い続けることができるようにする必要がある」
同団体は元議会の職員、行政府職員、移民政策提唱者のチームで構成され、人権擁護とコミュニケーションに精通し、数十年にわたる集団的経験に深く根差し活動している。
セバスチャン・サンチェス氏は失業保険の申請プロセスを説明した。米国労働省によると過去最高の2千600万人が失業手当を申請している(23日現在)。サンチェス氏は「失業保険は連邦政府によって資金を供給され、州を通して付与される。資格を得るには自身の過失無しで仕事を辞める必要がある。自発的であるならば正当な退職理由が必要。仕事を探し、仕事に従事できることが条件だったが、知事は『仕事を探している』という要件を免責し、新型コロナウイルスのために会社が閉鎖または停止したが、再開されれば元の雇用主に戻ることを期待している従業員も給付の対象にした。しかし、仕事に戻ることが保証されていない人は、仕事を探し続ける必要がある。実際、自宅待機のシェルターインプレースが発令中の今も、エッセンシャルビジネスをはじめ引き続き雇用を続けている企業がある」と話した。【グエン・ムラナカ、訳=長井智子】