前任の水谷さんから受け取った会長のたすきを披露するリチャード・ワタナベ新会長
 37県人会で構成する南加県人会協議会は、2021年度役員就任式と親睦会を14日、ズーム方式で開催した。福島県人会のリチャード・ワタナベさんが、協議会発足57年の歴史の中で、英語を第一言語とする初の日系米国人会長として就任した。ワタナベ新会長は新型コロナウイルス収束に希望を抱き、滞っている活動の再開をけん引する意欲を示した。

 会長を2年間務めたハッピー水谷さんが、ワタナベ新会長を紹介し「アメリカ人の合理性と日本人の心遣い、そしてリーダーシップを兼ね備えた素晴らしい人だ」と性格の良さを強調し「みなさん、協力をお願いします」と呼び掛けた。水谷さんは、録画した映像越しに「私が会長です」と書かれたたすきをワタナベ会長に手渡し「リチャード、お願いします」と後事を託した。

ワタナベ新会長とともに任務を全うすることを宣い、就任する2021年度の新役員ら
 ワタナベ新会長が新役員一人一人の名を呼び上げ、就任宣誓式に臨んだ。約70人の参加者が見守る中、弁護士のチェイニー・シェフィールドさんが先導役を務め、ワタナベ会長ら役員16人が右手を上げて任務の全うを誓い正式に就任した。日系社会の期待を込めた大きな拍手が送られ、新役員の門出を盛大に祝った。
 ワタナベ新会長が、就任のあいさつに立った。新型コロナウイルスの影響でビデオ会議となった就任式の準備にあたったスタッフの労をねぎらい「来年の就任式は、ライブイベントで開きたい」とコロナの収束を願った。
 新会長は第一副会長を務めていた昨年、群馬と佐賀の両県人会の新年会に来賓として参加した。その直後にコロナのパンデミックが起こり、感染防止のため社会的距離、マスク着用、ハンドサニタイザーがありふれた言葉となったと振り返った。「県人会協議会の活動は休止、一般のビジネスは苦境に立たされ、日常生活は多大な影響を受け急激に変化した」と嘆いた。「1年が経過し、三つのワクチンの接種が始まり、回復の道をたどっていて、刺激策により制限付きながら店内飲食が再開、店舗も営業が戻った。在宅勤務を終えて職場に戻れればうれしい。県人会の仲間と会って、活動を再開できればいい」と希望した。
 県人会協議会が主催する活動については、活動資金集めのゴルフ大会、敬老感謝の昼食会、二世週祭でのロサンゼルス七夕まつり、親睦ボウリング大会、日本文化継承者への奨学資金集めの親睦演芸会を列挙した。昨年はこれらすべてが中止を余儀なくされたが「今年は通常の生活へと回復し、来年は正常化すればいい。県人会協議会が各県人会に助けてもらって、県人会協議会も各県人会を助けたい」と展望を語った。
祝辞を贈るアル・ムラツチ・カリフォルニア州議会下院議員
 自身についてワタナベ会長は「県人会協議会初の英語を話す会長として就任し、光栄で誇りに思う」と胸を張った。この日就任した9人の副会長の中には、英語を話す人が3人いるとし「いずれ全員が会長職に就くだろう」と期待を込めた。
 所属する福島県人会の歴代会長の名を挙げ、県人会で仕事をこなしながら県人会協議会でも指導力を発揮した姿を見て触発され、後に続く決心を抱いたという。また県人会協議会の歴代2会長から多くを学び影響を受け、副会長就任に背中を押されたという。会長就任については「夢にも思い描いたことはなく、天国の両親は笑っているだろう」と話した。
 各県人会の会員に向け、自身の経験から「老いも若きも全ての人が、県人会で活躍することを望んでいる。指導的立場で役割を果たすことで学び、経験を積むことで恩恵を受けることだろう」と、積極性を求めスピーチを締めくくった。
 来賓を代表し、県人会協議会名誉会長の武藤顕総領事とアル・ムラツチ・カリフォルニア州議会下院議員、南加庭園業連盟会長の岩下寿盛さん、南加日系商工会議所会頭の川田薫さんが、それぞれ祝辞を贈り、新会長と新役員、協議会の前途を祝した。4人は、協議会が推進する日本文化の継承者の育成や、日系社会と日米交流への多大な貢献と共に、コロナ禍の困難な状況の中でも団結心を維持していることをたたえた。
「ユニークな方言」の紹介で、徳島弁を披露し優勝した徳島県人会会長の松村誠二さん
 余興は、参加型の「お家で借り物競争」と「ユニークな方言」の紹介を行い、賞品を奪い合った。借り物競争は早い者勝ちで、司会者が指定した家にある物を一斉に取りに走り白熱。ユニークな方言には33の県人会が参加し、録画したビデオを流し、お国なまりで披露した。優勝した徳島県人会会長の松村誠二さんは、物がそこに「ある」を意味する徳島弁「あるでないで」を、落語の高座風に夫婦の日常会話に見立てて巧みに演じ、審査員の心をつかんだ。2位は宮崎、3位に宮城と岡山が同点で続いた。
 県人会協議会が予定していたイベントは昨年3月から全て中止となったが、役員会は4月からビデオ会議を続けてきた。外出自粛令により、会員同士が会う機会が奪われたことを案じ、各県人会を紹介するビデオコンテストを12月に開いた。応募作品は工夫を凝らした県人会の特徴をよく捉えたものが多く盛り上がり、会員間の絆を強めるのに貢献した。
 今年の協議会主催のイベントは、ゴルフ大会を9月末か10月初めに予定しており、会員はコロナが収束し、ともに汗をかくことを願っている。 【永田潤】

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