ロサンゼルス郡公衆衛生局保健施設検査課(LACHFID)のゾシマ・カリーナ・ガーランさんは、19日にイトウさんに宛てた書簡の中で、「ICFは、当局が転居計画書を受理し承認するまで、入居者側に計画を告知することはできない」と明示。ガーランさんによれば、この計画書には法定代理人を持たない、また意思決定する能力を持たない入居者の数や施設閉鎖の理由などの情報が含まれていないという。
パシフィカ社は今後も計画書を再提出することが可能だが、ヘルスケア・クオリティー・センターのキャシー・ダナム副所長代理の書簡によると、転居計画にはコロナ禍における入居者たちの安全確保対策が必要だとしている。「コロナ禍での転居計画には、新型コロナウイルスが入居者たちに及ぼす危険性を考慮し、転居時に伴う感染リスクを軽減するために施設が講じる対策も含まれていなければならない。また、施設は、入居者または代理人がすでに手配している場合を除いて、今後の各入居者に対する適切な医療ケアおよびサービスを手配する必要がある」とダナムさんは明記している。
計画書却下の知らせを受け、ICFの閉鎖に反対する人々は喜びの声を上げている。この問題に対処するために精力的に活動しているグループ「Save Our Seniors」(SOS)の政策担当を務めるヨウコ・タカハシさんは、「パシフィカ社は今後も再申請を繰り返すことになるだろう。おそらく彼らは7月に『法案279号』が可決される可能性を避けるためにも、6月30日までに入居者を退去させたいはずだ。今回の却下により、入居者の家族や日系コミュニティーが彼らと戦う時間を稼ぐことができた」と話している。
アル・ムラツチ下院議員(トーレンス地区選出)が支援する同法案については、すでに4月13日に議会保健委員会で公聴会が開かれており、過半数の投票により予算委員会に付託されている。同法案は、高齢者施設の所有者が破産を宣言しない限り、コロナ禍における緊急事態の間に介護サービスの提供方法を大幅に変更することを禁じるもので、禁止事項には、介護サービスの終了や入居者の同意なしに入居者を他の施設に移すことも含まれている。
また、フランシーヌ・イマイさんとカリー・ホリエさんが率いる「さくら中間看護施設家族協議会」は、ICFを閉鎖し一般集合住宅に建て替える計画を却下するようにつづった書簡を送る運動を開始した。これまでのところ、ICFでの新型コロナウイルスの感染は見られないものの、転居先とされるケイアイ・ロサンゼルス・ヘルスケア・センターでは、すでに感染者および死亡者が報告されており、危険であると指摘している。
SOSは、5月1日(土)午後2時より、ICF前(325 Boyle Ave.)で、入居者の家族が中心となり、コロナ禍での入居者立ち退き阻止、適切な転居施設の確保、ケイアイ・ロサンゼルス・ヘルスケア・センターでの新型コロナウイルスによる死亡を防ぐことを主旨とする抗議集会を行う予定。当日は、ボイルハイツ日系コミュニティーの聖職者や医師、公職者、支援者らが、イーストLA太鼓などのパフォーマーと共に参加する。【訳=砂岡泉】