小東京のスエヒロのオーナーのケンジ・スズキさん。受け取る助成金は長年世話になったビルのオーナーに恩返しとして贈るという (写真=マリオ・レイエス)
スエヒロは、パンデミック後に出された郡の店内飲食禁止の間も持ち帰りの注文を受け営業を続た(写真=マリオ・レイエス)
 地域に根差す歴史ある古いレストランにはそれぞれには注目すべき物語がある。アメリカンエクスプレスとナショナルトラスト(National Trust for Historic Preservation)は歴史的にも文化的にも重要な意義がありながら、これまで過小評価されてきたレストラン25店舗を、全米から選出したと発表した。ロサンゼルスからは小東京のスエヒロ・ジャパニーズ・カフェ(337 E 1st St)とハロルド&ベルズ(2920 West Jefferson Blvd)が選ばれた。また、日本食ではシアトルの「まねき」と、アトランタの「中藤(ナカトウ)」も選ばれている。

 選出された各店にはアメリカン・エキスプレスが資金を提供し、ナショナル・トラストが管理する「Backing Historic Small Restaurants」助成プログラムを通じて4万ドルが供与される。資金は各店がパンデミックの経済的影響からの回復に取り組むためのコストを軽減するのに役立てることができる。たとえば店舗を修復したり、新しい屋外席を構築したり、オンラインビジネスをアップグレードするなど。助成金の使用をサポートするための技術支援も提供するという。

シアトルで親しまれている老舗の和食店「まねき」
 スエヒロの受賞についてオーナーのケンジ・スズキさんは「大きなショックだった」と驚きを隠さない。 「まさか私たちが選ばれるとは思っていなかった。最終選考のひとつ手前にまだ名前が残っていると聞かされた時、リストには600店もの候補があった。そんなに多くの店が応募していたとは知らず、受賞できるチャンスがあるなどとは思えなかった」
 スズキさんは、スエヒロが入居している建物を所有するアンソニー・スペルさんに、助成金を与える予定だと話す。スペルさんのビルは1982年建造で、ロサンゼルスで最も古い個人所有のビル建築の一つだという。
 「トニーの父と私の母(故鈴木順子さん)は1980年代半ばに(レストランの)リースに署名しました。トニーの父がいなかったら、私たちはここにいなかったでしょう」と、恩義を語っている。
 25店の全リストはナショナルトラストのウェブサイト(https://savingplaces.org/historicrestaurants#.YJ7JqZNKith)で見ることができる。【長井智子】
キッチンに立つ創業者の鈴木順子さん

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