全米最大規模を誇る日本文化の祭典、ロサンゼルス「二世週祭」が今夏も無事、閉幕した。
日系人だけでなく、多くの人種の人々が参加し、見物に訪れた。人出は、私の知るかぎりでは最盛期の70年代初頭に遠く及ばないものの、70回目の節目にふさわしい盛り上がりを感じさせた。
展示、催し物、デモンストレーションなど祭りに向けたボランティアの献身ぶりには頭が下がる思い。ただ、毎年のことながら、グランドパレードの行進が中だるみしないように、間の取り方などには、まだまだ工夫が必要だろう。
今年のグランドマーシャルは、50年近く二世週祭ボランティア活動を続けている菊地日出男さん、パレードマーシャルは2月のバンクーバー冬季五輪で大健闘したフィギュアスケートの長洲未来さん。2人の実績を考えれば理にかなった人選。とやかく言っている人は、自分が選ばれないからひがんでいるだけ。
二世週祭パレードと言えば、2年前の名誉グランドマーシャルはハワイ州選出のダニエル・ケン・イノウエ上院議員(民主党)。
同上議は、アメリカ議会史上、最長の在任記録を更新していたロバート・バード上議が先ごろ92歳で亡くなったのを受けて、当選回数が最も多い多数党の最古参議員が就任する慣例にしたがい上院仮議長に就任。今や大統領権限継承順位で副大統領(名目上の上院議長)、下院議長に次ぐ第3位に。
第二次世界大戦ヨーロッパ戦線での武勲で知られるように、イノウエ上議は日系人の特性とも言われる堅忍不抜の精神力、献身性を持ち前としており、抑制を利かせた政治手腕はアメリカ政界でも高い評価を得ている。
9月で86歳になるが、健康面での不安は感じさせないし、08年には全米日系人博物館(ロサンゼルス)のアイリーン・ヒラノ前館長と再婚。公私ともに現役バリバリといった印象だ。
二世週祭で謳われている日本文化の精髄が、彼の確固たるバックボーンとして備わっているに相違ない。【石原 嵩】