「男泣きする曲—」。先日カーラジオからふとこんな話題を耳にし、普段なかなか涙を見せない男性諸君が、どんな曲にジーンとくるのか興味を掻き立てられた。すると司会者の男性が「映画『Rudy』のテーマソングを聞くと涙がでる」とつぶやいた。
 映画は実話である。名門ノートルダム大学でアメリカンフットボールの選手になることが夢の青年ルーディー。彼には成績、高額な学費、小柄な身長などの障害が立ちはだかり、まわりの誰もが「お前には無理だ」と嘲笑した。しかし親友だけが「諦めるな」と励まし彼を信じ続ける。
 ある日、事故で親友が他界。失意に打ちひしがれる主人公だったが、親友の死から「限りある人生、後悔したくない。夢を諦めない」と決意。ノートルダム大学への進学を目指す。
 何度も不合格通知を受け取りながらも球場整備をして学費をためる日々。そんなある日ついに合格通知を手にする。念願のチームに所属するも、小柄な彼はいつも大柄な選手に吹き飛ばされる始末。それでも粘り強く努力を重ねるひたむきな彼の姿に、チームメイトも心打たれていく。
 大学生活最後の試合、一度もレギュラーになることがなかった彼の姿がそこにあった。しかし試合終了数秒前、観客とチームメイトからのルーディーコールが球場をこだまし、彼の夢は叶えられた。
 幾度となく気持ちが折れそうになっても決して諦めなかった主人公の姿に、いつもひょうきんな声で番組を進める司会者も、幼いころに心打たれたのだろう。その曲は彼にとって逆境に負けず夢を諦めないことの大切さを呼び起こす大切な「男泣き」の曲なのかもしれない。
 過去3回アカデミー賞に輝いた名優イングリッド・バーグマンもこう残している。「私が後悔するのは、できなかったことではなく、やらなかったことです」
 皆さん「やらずに諦めてしまったこと」はありませんか。もしあるなら、今がたいまつを掲げ動き出す時かもしれません。【吉田純子】

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