ロングビーチ・モータースポーツ・ウォーク・オブ・フェームの殿堂入りを果たし、自身のメダリオンを除幕し笑顔の佐藤琢磨選手(左)

 世界三大カーレースの一つに数えられるインディ500を2度制したインディカー・ドライバーの佐藤琢磨選手が、ロングビーチ・モータースポーツ・ウォーク・オブ・フェームから日本人で初めて表彰され18日、ロングビーチのコンベンションセンター前で催された式典で殿堂入りを果たした。同時に、英国人ドライバーのキャサリン・レッグ選手が女性で初めて殿堂入りした。

殿堂入りの式典で謝辞を述べる佐藤選手

 南パイン通りの歩道に埋められる予定のメダリオンには、ロングビーチグランプリ優勝(2013年)、インディ500優勝2回(17、20年)、インディカーレース優勝6回、F1米国グランプリ3位(04年)という米国での輝かしい功績が刻まれている。
 佐藤選手が日本人として初めてインディカーレースで優勝したのはA・Jフォイト・レーシングから参戦した13年のロングビーチグランプリだった。登壇した佐藤選手は当時を振り返り「素晴らしい週末だった。ここロングビーチのレースに出場できることは、もちろん名誉だった」と誇らしげに語った。伝統のロングビーチグランプリについて「歴史のみならず、レースの雰囲気、コースのコーナー、歴史との関わりなど、ほぼ全てがドライバーにとって最高のコースだ。情熱を持って14番のマシンを運転して表彰台の頂点に立てたことは、本当に光栄だった」と話した。さらに「ここで初優勝できたことは、私と日本にとって大きな意味を持つ瞬間だった」と、愛国心を込め喜びを振り返った。また、日本人初のインディカードライバーのヒロ松下が1990年にデビューしたのがここロングビーチだったことを紹介し、「彼が新たな歴史の1ページを開き、その後に私が続いている」と、先輩ドライバーをたたえた。そして、5月26日にインディアナ州インディアナポリスで開催されるインディ500での活躍を誓い、3回目の優勝に意欲を示した。

自身のメダリオンの前で写真撮影に応じる佐藤琢磨選手

 一般公開された式典にはファンと関係者約150人が集まり、2人の殿堂入りを祝った。サイン会では両選手が並んでファンと交流した。
 サイン会の列に並んだ林裕之・啓子さん夫妻はガーデングローブで営む和食店「Ginkgo Katsu Bento」のランチ営業を休んで参加したという。夫妻は10年前にロングビーチグランプリを初観戦し、レース後に佐藤選手から声を掛けられて以来ファンになりずっと応援してきた。「毎回パドックに会いに行き、サインをもらい、3人一緒の写真撮影をお願いするが、気さくに応えてくれる。ファンサービスとアグレッシブなドライビングに、引きつけられている。日本人として誇らしい」と、佐藤選手の魅力を語る。インディ500は昨年と一昨年に佐藤選手の応援に赴き、独特の雰囲気に酔いしれ「特別な場所で、あの空間にいられるだけで幸せになる。今年、佐藤さんの3度目の優勝をぜひ見たい」と思いを語った。
 サイン会後のメディアランチョンに出席した佐藤選手は、司会者から「インディ500の2度の優勝者」と紹介され、大きな拍手を浴びた。羅府新報のインタビューに応じ、インディ500に向け抱負を語った。

佐藤選手(左)と写真撮影する林夫妻=2022年4月

 「先日のテスト走行では雨のため15周しか走ることができず、2日目は豪雨で中止になり消化不良だったが、久しぶりにレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(20年にインディ500を制した時のチーム)に戻り、懐かしい顔を見ることができてよかった。車はスームズに走り出し、15周を走った中でいい部分とそうでない部分がしっかりと見えたので、5月の本番に向けていい準備になった」と、手応えをつかんだ様子で話した。スポット参戦の難しさについては「条件は非常に厳しい。毎週のようにレースに出ているライバルと戦うのは大変だが、自分は長くインディカーを経験してきていて、自分のチャレンジとしてインディ500に参戦し続けているので、年1度のチャンスを物にしたい」と、3度目の栄冠に向け意気込んだ。(永田潤、写真も)

ディクソンが逆転優勝
ホンダ勢、3位まで独占
アキュラ・グランプリ

表彰式で2位のハータ選手(右)、3位のパロウ選手(中央)とシャンペンボトルで乾杯する優勝者ディクソン選手

 米自動車レースの最高峰インディカーシリーズ(全18戦)の今季第2戦、第49回「アキュラ・グランプリ・オブ・ロングビーチ」の決勝が21日、ロングビーチの市街地コース(1・968マイル、全長85周)で行われ、予選8番手からスタートしたスコット・ディクソンが逆転で今季優勝を飾った。ディクソンはスピードと燃費を考えたベテランらしいレース運びで周回を重ね、62周目に先頭に出た。終盤の猛追を振り切り、42周を首位で走り通算57勝目を挙げ、シリーズの王者争いで首位に浮上した。
 2位はコルトン・ハータ、3位はアレックス・パロウが入り、ホンダのエンジンが表彰台を独占した。ホンダはロングビーチグランプリと相性が良く、24回出場し17回の優勝を誇る圧倒的な強さをみせている。直近15回では10度目の優勝。

首位を走る優勝したディクソン

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