リトル東京をはじめ、ロサンゼルス・ダウンタウンにロフトやアパートが建設され、さまざまな人種が住み始めて10年以上が経った。夜8時には閑古鳥が鳴いていたこの一帯も、今では多くのレストランやカフェ、バーが夜遅くまでオープンし、ストリートはたくさんの人でにぎわうようになった。
 朝の通勤時も、かつてはストリートにまだ寝ているホームレスの「家」が並び、一部にはゴミが散乱していたダウンタウンだったが、今はジョギングする若者の姿と犬を散歩させる人たち、自転車で通勤する人の姿をよく見かけるようになった。「ダウンタウン=職場」から、「ダウンタウン=職場と住まい」に変化していった証拠だ。
 テンプルとヒルにある教会「Cathedral of Our Lady of Angeles」は、ダウンタウンに住む人たちと犬のための交流イベントとして、07年から「Dog Day Afternoon」を開催している。当時300人、200匹だった参加者は、昨年には1400人、800匹にまで膨れ上がり、これもダウンタウン住民の増加を顕著に表わしている。
 今日28日には、ダウンタウン住民の「もっと緑を」との願いが叶い、総額5400万ドルをかけた総面積12エーカーの巨大公園「グランドパーク」の一部が、1街とテンプル間のグランドアベニューとヒルにオープンした。
 住民の残された願いは、「日用雑貨店やスーパーマーケットがほしい」という声だが、これも実現が近い。10月にはダウンタウンの中心部、フィゲロアと7街にターゲットがオープンする予定。また、オープンには賛否両論だが、チャイナタウン近くに小規模なウォルマートの建設も始まっている。
 歩道に寝ているホームレスを起こさないよう、当時ロサンゼルス通りにあった羅府新報のオフィスに通っていた10年前には想像も付かなかった飛躍的な発展を遂げたダウンタウン。今やこの一帯は、誰もがうらやむ「Live」「Work」「Play」の三拍子が揃った魅力的な場になりつつある。【中村良子】

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