研修プログラムに参加した黒川さん(前列左)と大友さん(同右)。後列左端が岩城修教育長
 南加道産子会(阿岸明子会長)が実施する短期研修プログラム参加のため5日、来米した北海道礼文町の礼文高校1年生の黒川大智さんと大友彩歌さんが、各所を訪問し貴重な経験を積んでいる。2人は、17日までの約2週間の滞在で収めた成果をそれぞれの道で役立てたいと、意欲を示している。
 研修生は米国人家庭にホームステイし、生きた英語を学びながら、生活習慣など異文化を吸収。英会話は、単語をつなぎ合わせ、身振りや絵に書くなどしコミュニケーションを図っているといい「家族のように親切にしてもらって楽しい」と口をそろえる。
 静かでゆっくりとした生活の礼文町とロサンゼルスでは、町の規模に大きな差があるといい「カルチャーショックを受けた」。こちらの道路の広さや片側4、5車線あるフリーウエーの交通量の激しさ、建物の大きさ、食事の量の多さなどスケールの違いに驚いている。目に映る物のみならず、優しく、気さくに話しかけられ、サービス精神旺盛な米国人の心の大きさにも感動している。
 プログラムでは、コミュニティーカレッジで英語を学んだり、全米日系人博物館や敬老引退者ホーム、タナカ農園など各所を訪れ精力的にこなす2人。特にターミナル島とウニ工場の見学に興味を示すのは、黒川さんの父と大友さんの祖父は漁師として生計を立てており、礼文町を支える主要産業の水産物を誇りに思っているからである。大友さんは、当地でウニが取れることを知らなかったという。初めて手にした米国産のウニは「礼文のウニは片手サイズだけど、こちらのウニは大きく両手サイズなのでびっくりした」。ウニ丼で試食し「甘くてとてもおいしかった。礼文のウニとは、少し違った何ともいえない味だった」と話した。
 建築士を目指す大友さんは「アメリカの家や建物は日本と形が違うので、見ていておもしろかった」と述べ、以前から外国で働くことを希望し、今回の訪米でその気持ちが強まったという。黒川さんはコンピューターなど情報科学に興味を持っていて「大学のコンピューター室を見学できてよかった。これまでの考え方が変わるほど、設備が整っていた」と刺激を受けた様子だった。ともに、研修で得た収穫を地元に戻って伝え、将来に生かしたいとした。
 研修生とともに小野徹町長と柳谷正武町議会議長、岩城修教育長ら6人が同行している。町は同研修プログラムを継続させ、将来は交換学生の制度設立を目指しており、町からのスタッフ派遣は、そのための視察を兼ねているという。訪米団一行は、12日に開かれる南加道産子会の設立40周年記念式典に参列し、謝意を伝える。【永田潤、写真も】

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