日米文化会館は5日、新年を祝う正月の恒例イベント「事始め」を日米劇場で盛大に催し、コミュニティーとともに新たな一年を祝福した。昨年3月にレスリー・イトウ新館長を迎え、新体制となった同会館は、コミュニティーに感謝の気持ちを述べるとともに、団結と支援をあらためて訴えた。
「事始め」は毎年、同館のアーティスティックディレクターの小阪博一さんがコーディネート。今年は、「初鏡」をテーマに、目で見て、耳で聞いて堪能できる芸術プログラムを構成した。
「雪」が舞うステージを最初に飾ったのは、中国、朝鮮半島を経て5世紀ごろ日本に伝わった伝統的な音楽で、宮中行事や神前結婚式などで演奏される「雅楽」。1968年に浄土真宗本願寺派「洗心寺」で誕生し、ロサンゼルスを中心に活動する「緊那羅雅楽会」が荘厳な響きを演奏した。2曲目には、雅楽に合わせて舞楽も披露され、会場の人の心を魅了した。
続いて、正派若柳流日本舞踊「華の会」(若柳久三主宰)による日本舞踊。若柳春華さんが「東都獅子」を、若柳久三師が「寿童」でそれぞれ華麗な舞を披露した。
演奏の最後を飾ったのは、ハーモニカ奏者、仲村哲也さん。日本のブルースハーモニカ分野を代表する妹尾隆一郎氏に師事し、日本人で初めてアポロシアターのアマチュアナイト・チャンピオンシップに出演した実力者だけあり、ハーモニカ一丁で演奏しているとは思えないほどのメロディーを醸し出す演奏に、会場からは感嘆の声が漏れた。
仲村さんの演奏が会場に響きわたる中、パフォーマンスはクライマックスとなるロサンゼルス弓道会グループ「一弓」による初矢の清めの儀式が行われ、小阪氏が放った矢が的に当り紙吹雪が舞うと会場の盛り上がりは最高潮に達した。
あいさつに立ったイトウ館長は、コミュニティーとともに新年を祝えることに感謝。続いてヘンリー・オオタ理事長は、「日本の伝統芸能を継承する役割を果たす日米文化会館の存在は全米でもユニークで貴重」と述べ、あらためてコミュニティーの団結と同館への支援を訴えた。
恒例となった同館内ドイザキギャラリーで開催されている色紙展には、ダライ・ラマ14世や麻生太郎・副総理兼財務大臣をはじめ、多くの人から個性的な色紙が集まり、訪れる人の目を楽しませた。
【中村良子、写真も】