10月1日は「コーヒーの日」、トルココーヒーが世界無形文化遺産に制定された日で、この日が国際協定によってコーヒーの年度始めとなる。日本では1983年に全日本コーヒー協会によって10月1日が「コーヒーの日」に定められたとある。
 コーヒーの起源は諸説あり特定できないが、10世紀頃からイスラムの修道僧などが薬または眠気覚ましに飲み始めたようである。やがて17世紀にヨーロッパに伝わると、「昔アラブの偉いお坊さんが…」と歌に歌われたその不思議な香りと気持ちを浮き立たせる覚醒効果は人々を魅了し、一気に全世界に広まった。初めてアメリカに赴任すると、会社では朝から大きなポットにコーヒーが用意され、各人が自分のカップになみなみと注いで自席へ。一日のはじめにはコーヒーが欠かせないお国柄だと知った。
 日本でも、「お茶でも飲みませんか?」はコミュニケーションの第1歩、街角のコーヒーショップで、高級な喫茶店で、しゃれたカフェでと人々の出会いの場や憩いの場となっている。若い女の子はおしゃべりに、学生やサラリーマンはノートやパソコンを持ち込んで勉強や仕事場に、時にデートの場になり時には商談の場になる。いまやコーヒーショップは人々の生活に欠かせない。
 今年の第38回モントリオール世界映画祭では、吉永小百合さん初プロデュースの「ふしぎな岬の物語」が審査員特別賞とエキュメニカル審査員賞に輝いた。のどかな岬の突端の小さなカフェを舞台に、女性店主とカフェに集う人々の交流ときずなを描く心温まるストーリーは、まさにコーヒーが取り持つ人と人との絆を表している。
 マニアはコーヒーの種類や原産地にこだわり、焙煎や入れ方に一家言を持つ。味音痴の自分だがマメで購入し挽いて淹れる。すべて人マネながらがん予防の効能があると聞くと期待する。要するに凡人はお茶と同様楽しんで気分転換になればよい。仕事が一段落ついたとき、読書に飽いたとき、淹れたてのコーヒーの深い香りを嗅ぎ、苦みのあるコーヒーを一口飲んでほっとする。そんな思いでこの日はコーヒーに感謝しよう。【若尾龍彦】

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