キリン・ブルワリー・オブ・アメリカ社長
山田崇文さん
ビールを3回に分けてグラスに注ぐ「3度注ぎ」。麦本来の甘みが引き立ち、芳醇な香りが口の中に広がる―。おいしさがもっとも引き立つ注ぎ方といわれている。準備するのは清潔なグラスとビールだけ。誰でも家庭で簡単にできるこのキリンビールが推奨する注ぎ方を、キリン・ブルワリー・オブ・アメリカの山田崇文社長に伝授してもらった。【取材=吉田純子】
ビール「3度注ぎ」紹介
②泡が半分まで減ったら、2回目は普通に注ぐ。グラスに一杯になるまで注ぎ、もう1回待つ。ここからが我慢のしどころ。ここからビールが上にあがらなくなる。ここでは泡が3割ほどになるまでじっと待つ。
③3回目は、グラスから泡が2センチくらいはみ出るまでそっと注ぐ。これで出来上がり。
ビールはよく冷やしたものを選び、細いグラスの方がきれいに泡が立つという。
コクの秘密
科学的には
キリンビールのブランドで特に三度注ぎに適しているのが「一番搾り」と山田社長。ビールは副原料を入れて味を整え、飲みやすくしているものが多いが、麦本来の甘みや香りを味わいたい場合は麦芽100パーセントがおすすめだという。一番搾りは麦芽100%モルトで作られており、米やコーンなどの副原料は一切入れずに作られている。三度注ぎをすると、さらに麦本来の香りが引き立つのだそうだ。
浸透難しい「3度注ぎ」
「泡嫌いの米国人にも」
ビールの味が一変する3度注ぎだが、米国での浸透はなかなか難しいそう。なぜなら、米国では出来るだけ泡を立てずに注ぐのが主流。泡が多いとお得感がなくなるため、嫌いな人が多いのだ。
「まずは日本人、日系人に広める。彼らが『おいしい』と言っている姿を見たら、日本のビールを知らない人にも泡の味わいを知ってもらえると思う。少しずつですが、地道においしさを広めていきたいです」。米国人への3度注ぎの紹介はこれからだ。
山田崇文さん略歴
学生時代にキリンビール直営のビアホールでアルバイトを経験。人と人との間に和やかな空気を作り出すビールの力に魅了された。
神戸支社、東京支社、営業部を経て、キリンビールが日本で展開するバドワイザーやハイネケン、ギネスビールといった海外ブランドオーナーとの窓口を担当。
2011年5月よりキリン・ブルワリー・オブ・アメリカに着任。