年が明け日系コミュニティーに訪れるのは新年会シーズン。南カリフォルニア地区の各県人会や日系諸団体は毎年この時期に新年会を開催する。毎週末、各団体が開催するため、新年会シーズンは1月から3月末まで続く。
毎週末式典に出席し多忙を極める人からは悲鳴の声も聞こえる一方、親子3代にわたって県人会のイベントに出席し、メンバーとの交流を楽しみにしている人々の姿もあり微笑ましい。
各団体が若い世代の減少を懸念する一方で、積極的にコミュニティーと関わりあう元気な高齢者の姿に胸をなでおろす。毎年行われる各団体の高齢者表彰では背筋がのびた80歳以上のメンバーが凛々しい姿で表彰状を受け取る姿を目にする。なかには90歳以上のメンバーでも自分で運転し式典に出席するのだから頭が下がる。
こうして元気な高齢者がいる日系社会とは裏腹に、最新の調査結果によると2016年の米国の平均寿命は78・6歳。平均寿命は前年度から低下傾向にあり、2年連続で低下したのは50年ぶりのことだったという。ちなみに男性の平均寿命は76・1歳。女性が81・1歳だった。
健康的に年を重ねる高齢者がいる一方、近年米国で目立つのが薬物の過剰摂取による事故死だ。特に鎮痛剤として処方される「オピオイド」の乱用による過剰摂取が問題視され、15年には3万3千人、16年には倍近くのおよそ6万3600人が命を落としている。人気歌手のプリンスさんがオピオイド系鎮静剤の過剰摂取で亡くなったのは記憶に新しい。
社会問題化したオピオイドの乱用問題を受け、昨年にはトランプ大統領が公衆衛生の非常事態を宣言。どこまで歯止めがかけられるかは未知数だが、社会問題化した事態を終息に向かわせる政策は必要だろう。
「長生きの秘訣は積極的にコミュニティーの人と関わり合うこと」。昨年の新年会で日系社会の高齢者が話してくれた言葉を思い出す。健康に長生きできればその分楽しいことが起こる機会も多くなるはず。増やさなくてもいい犠牲者を減らし、今年も多くの人が健康に過ごせる2018年になってほしい。【吉田純子】