近頃、「LINEをしないの?」と言われる。
 「私と無料で電話が出来るから、始めたらいいのに」と、久しぶりに会ったフロリダ在住の友人。「用件だけを手短に連絡できるから手軽よ」と言うのは東京在住の従姉妹だ。
 家庭の事情で急きょ日本への帰国を決めた友人は、「LINEで日本の親戚に呼びかけたところ、すぐさま家具や電化製品が集まった」と喜びつつシアトルを去っていった。
 彼女らは皆、携帯電話にLINEのプログラム(アプリ)を入れて、無料通話やグループ通信に活用中。
 時代の変化の中でも、コミュニケーション手段の変化は著しい。
 この春、実家に残したダンボール箱を開けると、箱いっぱいに、小学生の頃から渡米直前までの手紙が出てきた。あの頃、友人とのやりとりはすべて手紙かハガキ。たまに電話もしていたが、用件だけで長話はしなかった。
 80年代に新聞社に勤めてファクスを使い始めると、その便利なことに感心したものだ。
 やがて、子供たちの勉強に必要だろうとコンピュータを購入し、わが家でも電子メール(メール)を使っての通信が始まった。始めはAOL、続いてHotmail、Gmailへと時代と共に移ったものの、通信手段は依然としてメール中心。今でも、コンピュータの前に座ることが多い。
 ところが近頃、メールを送ってもすぐには返事の届かないことが続いた。何日か後に、「今、メールに気付いたので」と詫びと共に返事が来る。皆、私より若い世代で、メールを以前ほど頻繁にはチェックしないというのだ。
 そんな彼らが、メールに代えて日常的に使っているのは、LINEと共にSMS。メールアドレス不要の、電話番号さえ知っていれば一定字数までテキストを送信することの出来る、ショート・メッセージ・サービスだ。
 確かに、忙しい現役世代には、短い文章での頻繁なやりとりのほうが使いやすいに違いない。コミュニケーションのスタイルは「速・短・頻」へと移りつつあるのだろう。
 メール世代のままの私は、「メール送りました」とSMSで注意喚起して対処。笑い話のような状況に苦笑いしている。【楠瀬明子】

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