NHKの「ためしてガッテン」は、さまざまな問題を深掘りし、なるほどとガッテンする長寿番組である。わが家でもこの番組は人気の定番である。
先日、「筋肉&血管を強くする! 世界が証明した『最強の寝たきり予防法』」を見た。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校のスティーブ・コール教授の研究によると、治験者を3つのグループに分け、①人に親切にする②世の中のためになることをする③自分の好きなことをする、を1日3回1カ月間行ってもらう。その結果意外にも①のグループで、体内の炎症を促す遺伝子の働きが抑えられることが分かったのだそうだ。
世の中が少子高齢化社会になり、長寿だけでなく健康寿命が大事との認識が広がっている。長生きをしても「寝たきり」や「要介護」になってしまえば自分だけでなく、周囲や身内にも多大な迷惑をかけることになる。研究の結果は、健康寿命を延ばす最も効果的とされているのは、禁煙よりも、運動よりも、肥満解消よりも、「人とのつながりを作ること」が判明した。
人とのつながりが少ないことは、心臓病や認知症、筋力低下を引き起こし、結果として「早死にリスクが50%高くなる」という調査結果が発表されるなど、体の衰えを加速させる最大の要因と分かってきた。イギリスでは今年1月に「孤独担当大臣」が誕生して、国をあげての対策に乗り出したという。
人間は一人では生きてゆけない。原始時代からの進化の過程で、身体能力の劣る人類が生き延びたのは、お互いに協力しあって獲物を捕り外敵を防いだからで、進化の過程でDNAにその因子が蓄積されたのだという。まずは人とのつながりが大切。生体のメカニズムはともかく、シニアや身内にシニアを持つ人は気にかけてほしい心掛けだ。
気軽にボランティアに参加でき、誰とでもフランクに声を掛け合うアメリカ社会は、人とのつながりを持つには恵まれているように思える。まさに「情けは人のためならず」、これからも大いに人と付き合い、お互いに親切を心掛ければそれが健康寿命につながるとしたら嬉しいことである。【若尾龍彦】