
第1021回ロサンゼルス日本映画祭(JFFLA)が日開幕した。30日までオンデマンド配信を行うほか、18〜20日はハリウッドの2会場で上映会が行われる。長短編合わせて32作品は、いずれも現代の日本文化や伝統的な日本の心を映し出す、多彩で興味深いラインナップとなっている。
上映作品には、日本の歴史を題材にした作品や、質の高いドキュメンタリー、最新作に加え、招待作や世界中から寄せられた応募作品が含まれている。
オンラインおよびハリウッドのハングオン・ザ・ドリームシアターとジャパン・ハウスの2会場で公開する。また、JFFLAにたびたび参加し、昨年亡くなった仲代達矢さんをしのび、2作品をメモリアル上映する。
20日は、パフォーマンスショー、監督と俳優のトークショー、レッドカーペットが予定され、授賞式がジャパンハウスで開かれる。
映画祭の詳細は、JFFLAのウェブサイト—
www.jffla.org
Persona Non Grata: The Story of Chiune Sugihara(邦題—杉原千畝) 第2次世界大戦時、ナチスに迫害されたユダヤ難民にビザを発給して救いの手を差し伸べ、「日本のシンドラー」とも呼ばれた外交官・杉原千畝の半生を、唐沢寿明の主演で描いた人間ドラマ。堪能な語学と豊富な知識を駆使し、インテリジェンス・オフィサー(諜報外交官)として世界各国で諜報活動に携わった杉原千畝は1939年、リトアニアの日本領事館に赴任。自ら構築した一大諜報網をもって混乱する世界情勢を分析し、日本に情報を送り続けていた。その一方で、ナチスに迫害されたユダヤ難民に、日本政府の命令に背いて日本通過のビザを発給し、6千人の命を救った杉原の知られざる信念や信条を描き出す。上映会には、チェリン・グラック監督が登壇予定。
2126: Looking for the Sea Star(邦題—2126年、海の星を探して) 北海道・釧路在住のゲームオタクの巌(渡邊圭祐)は、中学時代に友達と熱中した世界的ヒットゲームの次回作の舞台の候補地に、上海と釜山と並んで地元・釧路が挙がっていることを知る。市場で店を開く母と2人暮らしの巌は、ゲームの世界を通して、北極海航路開通時には北のシンガポールともなり得る港湾都市「釧路」が持つポテンシャルを世界に発信し、観光客を増やそうと考え、東京から戻ってきた燈(葵わかな)ら幼なじみたちと共に、ゲームの舞台の誘致を目指して奮闘する。
Kaneko Fumiko(邦題—金子文子 何が私をこうさせたか) 金子文子(菜葉菜)は、反逆の人生を生きた虚無主義者、無政府主義者。1903年に生まれたが、父が出生届を出さず「無籍者」として育つ。9歳の時に植民地だった朝鮮に住む祖母の家に引き取られる。奴隷同然の虐待を受け、13歳で自殺を決意するが、思いとどまる。16歳で内地に戻され、その後東京で苦学し、キリスト教、社会主義、無政府主義とたどって、権力や生物の絶滅を謳う虚無主義に行き着いた。そして朴烈と出会う。朴は朝鮮で独立運動に参加し、日本に逃れてきた虚無主義者だった。本映画は、これまで空白だった死刑判決から死に至る金子文子の最後の闘いを、残された数少ない短歌とともに描く。
カリフォルニア・シナリオ シングルペアレントであるジェイコブとローラは、それぞれが抱える困難な状況にある子どもたちを連れてイサム・ノグチの彫刻庭園を訪れる。そこで彼らは、家族として受け継いできた「生き抜くこと」の重みと向き合いながら、いつの日か共に新たな何かを築き上げる可能性を見出していく。上映会には、ジェームズ・タナカ監督が登壇予定。
Bite to Bite ノバスコシアの極寒の海から日本のすし店へと至る、ある巨大なクロマグロの旅路を追ったドキュメンタリー。カナダのベテラン漁師2人とテキサス出身の科学者が、地球の裏側にある東京の有名な築地市場までそのマグロを追いかける旅に出る。その過程で、乱獲や持続可能性の問題、そして企業主導型へと変貌する世界的な漁業の中で伝統的な漁村がいかにして存続を図っているか、といった話題を織り交ぜながら、議論を呼びつつも莫大な利益を生むクロマグロ漁の世界の知られざる実態を浮き彫りにしていく。日本語字幕なし。上映会では、監督とスタッフが登壇する。
Korakuen 中編ドラマ映画。愛する人を失った後、人はどのようにして再び立ち上がるのだろうか。岡山を舞台にした、鋭敏な感性で世界を感じ取る日系米国人の中年男性ダニーの物語である。最愛の妻・京香を亡くした後、ダニーはある静かな、誰にも明かさない目的を胸に、京香の故郷へと旅立つ。その目的とは、自らの命を絶つことだった。偶然参加したバスツアーで、ダニーは自分を動揺させ、揺さぶりをかけるような見知らぬ人々に出会う。戸惑い、圧倒されながらも、こうした出会いを通じて少しずつ変化し、悲しみと孤独を抱えながら旅を続ける。記憶やつかの間のつながり、そして妻と共に過ごした日々の面影が残る場所で、ダニーは喪失と向き合い、妻の死を受け入れ、そして「生きていくこと」を選べるのかどうか、決断を迫られる。上映会で監督が舞台あいさつする。
