アメリカ合衆国国勢調査局から一通の手紙が届いた。国勢調査の一環である「アメリカン・コミュニティ・サーベイ(ACS)」対象に選ばれたので、回答するようにというもの。それもオンラインでという。続いて、回答のためのパスワードが届き、その後には念押しの手紙も。
 これまで国勢調査では、ショートフォームと呼ばれる調査用紙が郵送されてきた。もっと詳しいロングフォームにも答えたことがある。が、オンライン回答のリクエストは初めてだ。
 とはいえ夏には、インターネット利用の有無を問う電子メールがメディケアから来ている。メディケア対象者は普通65歳以上と高齢なので少々驚いたが、回答すると以後はいろんな知らせが電子メールで届きだした。今後、公的機関はいっそうオンライン利用の方向に進むだろうし、全世代を対象とする国勢調査などはその最たるものに違いない。
 国勢調査のインターネット利用は、資源節約、費用削減、データ集約の手間削減につながるとして、2010年から導入されていたらしい。オンライン回答が無い場合は、数週間後に調査用紙が郵送されるという。
 1790年以来、10年ごとに行われてきた国勢調査。2010年からはショートフォームのみで、毎年のACSがロングフォームに代わる機能を果たすという。というわけで、今回のACSも、教育・住居・職業について詳細な質問がある。畳みかけるように次から次に新しい質問がコンピュータスクリーンに現れると、この先どれだけあるのかと不安になるほどだ。
 ACSには、2020年国勢調査事項に新たに加わるという市民権有無の質問事項も織り込まれていた。合法的に滞在していてさえ、移民排斥的風潮の中でギクリとする質問。非合法に滞在する人が心穏やかに回答を続けられるかは疑問だ。
 現在、この質問は非合法に滞在する人々の国勢調査参加を削ぐ恐れがあるとして、2020年調査項目から削除を求める訴訟が自治体や人権団体により提起されている。商務省の独自判断とされた項目追加だが、ホワイトハウスの関与が見えて来たのは、やはりというべきか。【楠瀬明子】

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