カリフォルニア州北部ビュート郡の町パラダイスで11月8日に発生した山火事「キャンプ・ファイア(Camp Fire)」で、同郡シェリフ局は3日までに行方不明者は11人と発表。犠牲者数を88人から85人に下方修正した。山火事による混乱から一時、行方不明者は1300人と発表されていたが、28日には196人、12月1日には25人と発表されていた。【吉田純子】

 同郡シェリフ局によると、犠牲者数が3人減ったのは、当初別々の3人とされていた遺体がDNA検査により同一人物であると判明したためだという。
 「キャンプ・ファイア」は発生から2週間以上が経過した先月25日に鎮火。総延焼面積は15万3336エーカー。住宅およそ1万4千棟、商業施設を含む建物4800棟以上が全焼し、加州史上もっとも犠牲者を出した山火事となった。
 甚大な被害を受け、山火事発生時、当局から住民への警報システムが行き届いていなかったことを疑問視する声もある。同郡では登録した住民に対しては緊急時に携帯電話などに警報を送るシステムがあったというが、今回の山火事では警報は送ったものの、十分に行き届かなかったことを同郡シェリフ局は認めている。
 当局によると、通常、現場に到着した消防隊員が、火がどの方角に向かって拡大しているか、火の向かう先にコミュニティーがあるかなどを確認してからシェリフ局に連絡。その後、シェリフ局がどのコミュニティーにどの警報を発信すべきかを判断した後、警報が送られるという。当局によると今回の場合、火の勢いがあまりに早すぎたため警報を発信するプロセスが追いつかなかったという。
 この山火事で被災したパラダイスの住民の小島智代さん(現在はレッドブラフに避難)によると、避難を促す電話は町に火の手が迫ってきた時にかかってきたという。その直後に停電が発生した。
 山火事の前日には、電力供給会社「PG & E」から「強風と火災の恐れがあるため翌日午前4時ごろに自主的に停電を実施する」との連絡が電話のほかEメール、テキストメッセージを通して自宅と経営していたレストランに送られてきたという。山火事の出火原因は今も調査中ではあるが、原因を巡っては山火事が発生する15分前に現場付近の送電設備に故障が生じていたことが出火原因につながった可能性があると指摘されている。
 理由は分かっていないが実際にはPG & E社は8日、自主的に停電を実施しなかった。「8日の朝になっても停電はありませんでした。あの時ちゃんと4時に電気を切っていたらこんな事は起きなかったのでは」と小島さんは疑問を呈す。
 2日には、周辺の町マガリアとコンコウの住民を対象に避難命令が解除され、自宅に戻ることが許可された。しかし同郡公衆衛生局は、住民に対し、当局が安全と判断するまでは全焼した家屋があった場所に住まないよう呼び掛けている。

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