ペパーダイン大学国際関係学部アジア学科卒業後の97年NHK朝の連続テレビ小説「あぐり」で俳優デビュー 1973年東京都生まれ

「海外で、しかも英語での講演は初めてなので少し緊張しています」と開演前に語った山田さん。ロサンゼルス寛容博物館( Museum of Tolerance)で開催された講演会「アフター杉原―小辻節三のユダヤ難民救済」に登壇するため、日本での映画撮影を終えてすぐにLA入りした。

山田さんが著書『命のビザを繋いだ男 小辻節三とユダヤ難民』を出版したのは2013年。日本に渡ったユダヤ人難民のことを知り「日本でのレシーバーは誰」という疑問を持ち始めてから何年もの時が経っていた。
「出版して以来(講演活動などをして)動いたことは特になかった。徐々に広がっていくだろうと。小さい火が起こればいいな、とは思っていました」。領事館からの申し入れで講演が実現したことには、「このような機会が持てて嬉しい」と述べ、「ユダヤ人難民救済ではどうしてもセンダー(送った側)に目がいく。(誰が受け入れたのか)レシーバーもきっちりやらないと」。杉原千畝の出したビザを持って大陸を渡ったユダヤ人たちがその後どうなったのか。「そこまで説明することが重要」と力を込める。
著書にある ラビ・マーヴィン・トケイヤーに会うためNYへ行くくだりは、小辻との運命的なつながりさえ感じるエピソードで興味深い。講演では「あなたが小辻の話を聞きに日本からやって来たクルクルパーですか」と、トケイヤー氏の言葉を引用し会場を沸かせた。

記念撮影する、右からメリー小辻さん、山田さん、ジュリー小辻さん(2017年死去)
(山田さん保管の写真)

小辻の実の娘小辻メリーさん、ジュリーさんに会いに行く山田さんを待ち受けていたのは、予想外の姉妹の頑なな態度。過去の経験から、父について話すことを避けてきた姉妹だったが、山田さんの小辻に対する熱意を理解し、次第に親しい関係を築くように。
共に講演した広瀬佳司ノートルダム女子大学教授によると「山田さんは小辻研究の第一人者。小辻の家族からも絶対的な信頼を得ている」
自身にも子供が生まれ、新たな思いも浮かぶ。「大切なことを子供たちに伝えていかなければ。僕たちの時代はこういう体験もなく過ごせたけれど、この先のジェネレーションでは何が起きるかわからない」。
本を書いた後にわかったことや新しい資料も出てきたという。「 それらを今後、形にしていくかもしれない」。
近い将来「小辻のドキュメンタリー映像も作りたい」と意欲を燃やす。【麻生美重、写真も】

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