今、サッカー女子ワールドカップ(W杯)で2連覇を果たした米代表チームが注目を集めている。2連覇を達成したから、だけではない。世界の舞台での闘いの後、彼女たちは今、男女平等を求め闘っているからだ。
 決勝戦でゴールを決めたサッカー女子米国代表のミーガン・ラピノー選手。同選手は自らが同性愛者であることを公言し、性差別や男女格差、人種問題に関しても発言してきた。トランプ大統領と対立していることでも知られる。そんな選手が、男女の選手の賞金額の差を指摘した。
 2018年の男子W杯で男子選手が受け取った賞金は4億ドル(約430億円)。一方、今回の女子選手が受け取る賞金は3千万ドル(約32億5千万円)だという。同選手は男女間の不公正を訴え、国際サッカー連盟(FIFA)に男女の格差是正を求め立ち上がった。
 米女子代表選手たちは今年3月、米サッカー連盟を提訴。賃金や旅行条件、サポート体制などを男子選手と同等にすることなどを求めている。
 この一幕をみていて2012年のロンドン五輪の「なでしこジャパン」を思い出した。
 ロンドン五輪でなでしこジャパンは準優勝で銀メダルを獲得。前年の女子ワールドカップ・ドイツ大会では強豪アメリカを制し見事世界一に輝いた。彼女たちは、東日本大震災後の日本に勇気と希望を与えた存在だった。そんな彼女たちだが、五輪に向かう飛行機の座席はエコノミークラス。同乗していた男子代表団はビジネスクラスだったという。ちなみに当時、日本女子のランキングは世界3位。男子は20位で68年のメキシコ五輪での銅メダル獲得以来、メダルをとっていなかった。なかなか興味深い待遇の違いである。
 スポーツに携わる人が備えるべき「スポーツマンシップ」とは何なのか。調べてみるとこうあった。「スポーツをする者が身につけていなければならないとされる競技精神」。そして「『公明正大に全力を尽くす』こと」ともある。
 果たして運営側を含めスポーツに関わる人みながこの精神を身につけているのだろうか。今回の件をみていると疑わしいものがある。スポーツ界の男女差は今後、アメリカでも議論されていきそうだ。【吉田純子】

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