今週末と来週末に小東京で繰り広げられる二世週祭。日本と日系社会の文化を、多様性を尊ぶ南カリフォルニアに暮らす人々に幅広く紹介することを目的とし、結束を固めた日系社会が存在感を示す年に一度の絶好の機会となる。多民族国家の米国において、民族のお祭りの中で最も長い歴史を誇る。1934年に始めた一世と二世、そして日米開戦で中断を余儀なくされながらも戦後に再開させた先人に感謝したい。
 祭りの名と同じ二世は、年をとり亡くなる人がいて年々、参加が減り悲しいが、少しでも多くが元気な姿を見せてわれわれを喜ばせることに期待したい。ほとんどが90代になり、100歳を超える人もいる。同祭が選ぶ最高の栄誉、グランドマーシャルは、日系社会で活躍したお馴染みの帰米2世が選ばれた。受賞晩餐会の日に100歳の誕生日を迎え祝うという。実行委員の粋な計らいに頭が下がる。
 さらには、3人の二世の故人にも敬意を表し、各人に賞を授与するという。表彰を受ける103歳の茶道の大家と、今年の音頭の振り付けを行った日本舞踊の師匠の2人が、米国での日本文化の普及、発展に多大な業績を挙げたことは疑う余地はない。二世週祭では、点前でお茶を味わい、グランドパレードの音頭の列に大きな拍手を送って、弟子たちが弔う形の両師匠の「遺作」を鑑賞してもらいたい。
 今年はまた、日本からはるばるゲスト参加し伝統の祭りに新風を吹き込む。人気の男性音楽バンドを次々に世に送り出した芸能プロダクション「ジャニーズ事務所」の6人組ユニット「美少年」が、高野山別院でコンサートを行う。え、お寺で? と意外に思うだろう。だが、美しいストーリーを知れば感動することは間違いない。同社の社長だったジャニー喜多川さんは父が、この別院の主監を務めたため、別院と小東京、二世週祭には思い入れがあった。美少年のライブもまた、先月他界した喜多川さんの遺作であろう。
 今年で79回目を迎える二世週祭。伝統を脈々と受け継いできた先人に捧げたい。【永田 潤】

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