ノートルダム高校を訪問し、北海道の「南中ソーラン節」を披露して地元の生徒に教えながら一緒に踊る礼文高校の生徒たち
 北海道礼文町の海外交流事業で来米した礼文高校1年の男女9人が、精力的に活動し研修(15〜25日)をこなしている。2012年に始まり今年で8回続けて生徒を派遣し、町の活性化に寄与する研修プログラムは今年、バーバンクのジョン・ミューア中学との姉妹校提携へと花開き、次代を担う若者の活発な日米交流に期待が高まる。

ホストファミリー(右側)と会話をしながらランチを食べる生徒たち
 研修は、19日のジョン・ミューア中との姉妹校締結の調印式出席のため生徒に同行している小野徹町長の肝いりで始まり、北海道出身で1回目から生徒を受け入れている阿岸明子さんの協力を得て実施している。
 礼文町は進行する高齢・過疎化問題に直面している。町立の同校も全校生徒わずか30人と規模は小さい。その対策としての米研修は、いわば切り札。グローバルな視野と豊かな国際感覚を持つ若者の育成を目的とし、期待を込めた未来への大きな投資として研修費用は町が全額負担。生徒は帰国後、研修の成果を全校生徒と教育委員会の担当者に向けて発表し、町の発展に役立てる大切な役目を担う。
ユニバーシティー高校で校内ツアーを受ける礼文高の生徒
 引率の坂野裕悦校長によると、研修経験者が後輩に体験を伝えるいい伝統が築かれており、夢を膨らませた1年生の生徒全員が応募するようになったという。「生徒は礼文の代表として自覚を持ってしっかりとプログラムに取り組んでいる」と評価し「中味が充実してきていて、さらに発展させたい」と研修の継続に意欲を示した。姉妹校関係を結んだ後の来年の夏には、ジョン・ミューア中の生徒が礼文を初めて訪れるといい「迎える側としてしっかりと準備を整え、交流を促進させたい」と抱負を述べた。
 礼文高は北海道教育委員会から地域の特色を生かした教育(海釣りなど野外授業や米国での語学研修など)が認められ、道外から初めて生徒(最大12人)を募集することができるようになった。全国から受け入れる体勢を整え、今夏には東京と大阪、名古屋、福岡で学校説明会を開き、礼文島の大自然や魚介類などのおいしい食べ物、島民の心の温かさに加え、米研修に高い関心を持った参加者もいたといい、来春の入学式が待ち望まれる。
歓迎会でホストファミリーと会話する(左2人目から)高道築さんと高木海渡さん
 今回の参加者9人はすべて渡航は初めて。全島民約2600人、全校生徒30人というのどかな礼文と比べ、ロサンゼルスは大都会だ。「人と車が多くて、道路が広い。家や建物が大きくて、スケールが違う」などと、カルチャーショックを受けて、初日に頭が痛くなった生徒もいた。だが、そこは適応性の富んだ子供たち。好奇心が旺盛で異文化を次々に吸収し「楽しい。ずっといたい」と、目を輝かせている。
 ホームステイで生きた英語を学びながら、精力的に各所を回っている。地元の学校4校を訪れ授業を見学し、ランチをともにするなどして同年代の生徒との触れ合いを楽しんでいる。全米日系人博物館、日本総領事館などを訪問し、ハリウッドとラスベガス観光を通し、見聞を広め大きく成長。訪れる先々で歓迎を受け、自己と島の紹介をする英語でのプレゼンテーションは「発音がよく、とてもいい」などとほめられ板についてきた。19日夜には、島の期待を一身に背負った両校の姉妹校締結調印式にも臨み、「歴史的瞬間」の目撃者となる。
礼文高の生徒のプレゼンテーションで、質問に手を上げるホストファミリー
 小本航也さんは兄が研修に参加し、その時できた現地の友人と今も連絡を取り合って交友関係を続けており「自分も一生の仲のいい友達を作りたい」と希望する。ホストファミリーとの会話は英語で問題なく意思疎通を図ることができたことから「自分の英語が通じてとても自信になった。礼文に訪れる外国人と話すようにしたい」と、収穫を得た面持ちで話した。
 佐々木望彩さんの研修参加の動機は「アメリカの人々や生活習慣・様式、文化などの特色を知り、日本との違いを知りたいと思ったから」と話し、当地の食べ物や建物、家の外装、内奏を興味深く見ているという。研修について「経験を生かして、自分と島の将来のために役に立ちたい。(具体的には)島にもっと多くの外国の方を呼ぶために頑張りたい」と、力強く語った。
ロングビーチで開かれたホストファミリーによる礼文高校の生徒の歓迎会

ホストブラザーとホストシスターの歓迎を受ける礼文高の生徒たち

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