冷蔵庫が壊れてしまったので、さっそく購入しに行ったのですが、部品の供給が遅れており納品まで一カ月かかるとのことでした。つまり突然、冷蔵庫のない生活を強いられることになったのです。その日からスーパーに行く度に氷をもらい、玄関においた発泡スチロールの小さな箱がわが家の冷蔵庫となりました。一日目はある程度冷えているのですが、二日目になると要冷蔵の食品が心配になります。そのうち欲しいものを買うということをやめて、買うものを工夫するようになりました。最後には冷蔵庫のない生活を楽しんでいる自分に気がつきました。やればできるものです。
 そんなこともあって、生活のスタイルを変えるのは考え方だなと思うようになりました。例えば私たちはこれまでもさまざまな試練を乗り越えてきました。突然降りかかるさまざまな苦難にも立ち向かい、学び、克服をしてきました。そのためには、これまでの生活様式を捨てて、新しい常識を作っていかなければなりません。場合によっては、個人や地域や国に限定されるものではなく、すべての地球人に課された共通の一新となることもあります。以前と同じ日常ではなく、以前とは違った次元の社会を創造するのです。
 今までの価値観や常識を疑い、将来への希望を見つめ直し、誰もが明日をよりよく生きたいと思う社会。家族や愛する人を守り、明日が楽しみで、より幸せに生きたいという願いがかなう社会。それは刷新でも更新でもなく、人の心を一新するという意味です。
 生活様式を変えるということは、大変なストレスのように感じます。しかしながら私たちや私たちの祖先は、日本から米国に渡った時に自分たちが育ってきた環境や考え方を見直し、今の地に生きることを選んできたわけです。考えてみれば、明治維新や昭和の戦後、大きな自然災害の後にも、価値観を変えることで生きる希望をつないできたのではないかと思います。自らの考え方を変えることで、さまざまな苦難を乗り越え、そして共存できる道を探してきたのではないかと思います。そこには確かに人類の希望があります。【朝倉巨瑞】

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