つい先頃まで人々は世界中を行き来していたのに、コロナは多くの国の門戸を閉ざし、鎖国の時代に戻ったかのようだ。入国制限や航空便の激減で日本の遠くなった思いがしている時、義母の容体が思わしくないので戻るよう連絡が入り、急きょ日本に向かうことになった。
 旅はまず、運航便の確認から。コロナ以前、シアトルからは3社が東京行きを毎日運航していたが、6月後半は1社が週4便運航するのみ。それでも、まだ日本への直行便があることに胸をなでおろす。
 次の課題は、日本による入国制限だ。日本旅券での往来なので入国は可能だが、空港でのPCR検査の後、①公共交通機関を使わずに滞在先まで移動②滞在先では2週間の待機、が要請されている。
 公共交通機関を使わないというのは、迎えの車やレンタカーを使っての移動で、タクシーもダメとのこと。これには絶望的に思えたが、旅行社に問い合わせるとハイヤーはOKでその手配ができるといい、わらにも縋る思いで予約を入れた。2週間の待機については、幸い東京近郊に一時滞在先があるのでそこにこもる事にして、スーツケースに食料品を詰め込んだ。
 それまでずっと家ごもりでコロナ感染はないはずだが、空港や航空機内で感染する恐れもあり、これまでになく緊張する旅。羽田では全搭乗者の降機後に係官による説明が行われ、PCR検査は最初に子供連れ、次に自家用車・ハイヤーなどで自宅に向かう人で、ホテル泊の場合はその後。検査結果はメールで通知するが、陽性ならすぐ電話連絡があり、2日間電話が無ければ陰性だと思ってよいとのこと。
 PCR検査が終わりハイヤーに乗り込んだのは、羽田到着から約1時間後。心配した旅も思いのほかスムーズに進み、滞在先に着くと心底ほっとした。報道によれば、同日の検疫で陽性だったのは3名。陰性の通知メールは5日後に届き、2週間の自宅待機はまだ続くものの、入国のヤマはひとまず越えた。
 制限緩和の国も出てきたが、今も感染が激しいアメリカから日本への入国制限はまだ続くだろう。感染が収束し制限が緩和される日が一日も早く来ることを願うばかりだ。【楠瀬明子】

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