新型コロナによる外出自粛を経て、約3カ月前から息子のクラブサッカーの練習が再開されている。郡の衛生ガイドラインを守り、フィールドに入る時の検温や手の消毒などが徹底されており、練習中もマスク着用を義務化しているわがクラブからは、これまで感染者は出ていない。
練習中のマスク着用ルールは各チームの判断に任されており、隣のフィールドで練習をしている別のクラブの幼い男子チームは、マスク着用率が極端に低い。幼い子供のマスクは、呼吸がしにくくなったり、顔を触る頻度が増えて感染リスクが高まる可能性も指摘されているからだろう。
ある日、このちびっ子チームをフェンス越しに見ながら車に戻ろうとした時、一人の男の子がマスクを着けて小走りで練習に合流した。親がきっと、マスクをしているように伝えたのだろう。すると、チームメイトが近付いてきて言った。「お前、コロナが怖いのか」。男の子は、急いでマスクを外してポケットにしまった。
先日コロナの集団感染が発生したホワイトハウスでも、同じような空気が漂っていたのではないだろうか。大統領が一言、マスク着用を徹底しましょう、と言えたなら、どれだけの命が救えることか。大統領が発する言葉の影響力は、大きい。
コロナの国内死者数が20万人を超え増え続けている現状があるにも関わらず、トランプ大統領の支持者集会ではマスク着用やソーシャルディスタンスが守られていない。この参加者らがコロナに感染した場合、治療はいらないとの誓約書を書かせたらどうか。逼迫(ひっぱく)する医療現場で尽力し、コロナの犠牲になる医療従事者のニュースを見るたびに、この一部の人々の無責任さに怒りを覚える。
11月3日は、いよいよ米大統領選挙の投票日だ。カリフォルニア州では、GOPが不正規の郵便投票用投函(とうかん)箱を設置したり、共和党知事のテキサス州では郵便投票の回収場所が各郡1カ所に制限されるなど、壁は立ちはだかるが、郵便・期日前投票数は過去最高になる見通しで、投票率も1908年以降で最高になると予想されている。民主主義の未来が懸かった大事な選挙だけに、目が離せない。【平野真紀】