コロナがいまだ収束しない中、大学アメフト・シーズンが開幕し、スタジアムは多くの観客でにぎわい始めた。胸の内ではクラスター感染を心配しながら試合を見守るが…。
太平洋岸&西部地域を中心に12校で形成され、UCLAも属するPac12という大学連盟がある。自ら放送局も持ち、巨大ビジネスを築く。6校ずつ北地区と南地区に分けられ、各地区でトップの成績を残したチーム同士が代表として、最後に決勝戦を行う。
1シーズン、夏の終わりから冬にかけ4~5カ月間、大抵10~13試合行う。運動が激しいので、バスケや野球のように週何度も試合は難しい。通例として連盟に属さない大学とも数試合ほど組まれるので、連盟12全チーム同士との対戦は、日程上無理だ。地区内では総当たり戦だが、その順位の決め方が興味深い。
シーズン終了後、全試合の結果、2チームの成績が全く同じだった場合、それを打破する「タイブレーカー」のルールが起用される。まずはレギュラーシーズンでの直接対決の結果を見て、勝者が上回る。引き分けだった場合、同地区内での成績を見る。それでも同じなら、同地区内におけるその次のベストの成績を残したチームとの対戦成績で判定する。
規約を見ると、こうした判定条件の段階がいくつかあり、最後は「コイン・トス」と記してある。硬貨を投げて地面に落ちた際に、その表裏で決める。つまり運任せだ。おそらく、それで決定された例は過去にはなさそうだが…。このコイントスで勝負を決める習慣は、古代ローマ時代に起源するといわれる。また昨年とは異なり、今年は、コロナにより試合放棄したチームは「負け」、対戦相手は「勝ち」となる。
どの世界でもルール作りが大切だ。さまざまな状況設定を想定し、誰もが公正で納得いくものを考案し続ける必要がある。そのルール作りを総括する組織のコミッショナーが重要な任務を担う。Pac12は、他の大学連盟と比べて収益が落ち気味で、近年批判が強まっていた。その要因もあってか、数カ月前、トップの人事が交替した。安全第一を優先する大学スポーツを期待する。【長土居政史】