今年2度目の日本。やっと岩手の実家に到着。だが、暑い! 何か変! 10月のインディアンサマー?かと思う暑さである。
 ところで、今回の待機はAIによるビデオ映像報告もあり、なかなかだった。待機中に読んだ本が文春新書「百歳以前」徳岡孝夫・土井荘平のエッセー。ともに妻を亡くした91歳の2人が、「もうじき百歳」の日常生活をどう生きるかの課題が面白おかしい。そして、かつての取材日記だったりと豊かな内容だ。
 視力を失くしたジャーナリストは、同級生に電話で原稿を送る。同級生はそれをパソコンで打ち込むのだが、電話の内容を録音で聞くと何だったかな?が出てる。そんな苦労から本書はできている。2人の作者の歳が母親と一つ違いで、余計に親しみが感じられた。
 視力を失ってやる気も失せる人がいる中で、口述でこれだけの内容を残せる。ジャーナリスト魂を見る思いがした。当時、裏側でそんなことがあったのかとニンマリすることも。某国大使らと混浴温泉に行ったときに見た男女カップルの様子を気高い行為と表現した某大使の話など、今ならどう見ただろうかの提起にもなっている。
 口述を活字に起こした土井氏の話は、ケアマネジャーやデイサービスの介護士、ホームヘルパーとの関わり、認知症と思われる知人からの電話など、高齢者に身近な話題の体験談だから、より一層うなずけて笑える。
 趣かわって、時代で石田三成像がこうも違うかと思って読んだ本が集英社文庫「智に働けば」。石田三成像に迫る十の短編だった。このように読書にいそしんだ私の待機期間であった。
 アルツハイマー病の母のもとに着いてからは、薬の残量がおかしい!から始まる現実。久しぶりの赤とんぼに、秋の気配を感じている。【大石克子】

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2 Comments

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  1. アップ磁針:「日本再訪」の大橋克子さんへ。入国待機中に「百歳以前」を楽しくお読みいただいたとのこと。共著者ともども嬉しく拝読しました。アマゾンのカストマーレビユーにご感想をアップしていただければ有難く存じます。(土井荘平)

  2. 大石克子さま fm土井荘平。拙著「百歳以前」、お読みいただきありがとうございました。共著者徳岡孝夫も貴社へは行ったことはないが、昔桑港のチャイナタウンの近くの日本語新聞社を訪れたことを懐かしく思い出したと話しております。