この磁針のコラムニストでもある、プロデューサーの河野洋さんが主宰するショートフィルム映画祭をオンライン視聴した。今年で10年目になる「ニューヨーク・ジャパン・シネフェスト」は、パンデミック前まではニューヨークで主たる上映会が行われ、西海岸は巡回上映で、より抜きの数本がスクリーニングされてきたが、パンデミックになってからはオンラインに切り替わった。
 オンライン上映はいいな、と思う。大スクリーンで見ることができない代わりに、自分のペースで見ることができるので、選出作のすべてを見られる。好きな作品の後は好きなだけ余韻に浸り、問題作の後には思いっきり怒りを爆発させることだってできる。何、怒り? そう、「NANMIN」というドキュメンタリー作品を見て、私は久しぶりに噴火した。
 トランプ政権が移民政策で長期に入国希望者を収監したり親子を引き離したりしたニュースは世界中を駆け巡り、日本でも報道された。だが、日本人のほとんどは、日本国内に「もっとひどい」と言えるような人権無視があることを知らない。群馬県牛久にある入国管理センターには、難民として入国を希望する人々が刑務所のような状況の中で収監され、それは何年も、時には3年以上に及ぶこともあるという。秘密主義の上、難民認定を得るのは困難で、「仮放免」という措置で外に出られても一般人と同じ生活はできず、月に一度は「入管」に出頭することが義務付けられているそうだ。
 「日本からの毛布」「日本からの食料」「日本からの援助」。それらを受け取る第三諸国の人々は「日本はいい国だ」「きっと助けてくれる」と日本に向かうのに、着いてみたらこの仕打ち。これは、私の心にグサっときた。おもてなしの国と言うが、その精神は「いずれはお帰りになるお客さま」だから発揮されており、亡命や帰化に対して日本を与える気持ちにはならないのか。その背景には、日本人固有の選民意識のようなものがあり、このことは「外国の国籍を自らの意思で取得した人は日本国籍を放棄せよ」という法律にも通じると思えてならない。
 「NANMIN」は、20分弱のドキュメンタリー。アダム・ショー監督による米国映画である。映画祭には他にも多くの珠玉作が出品されていた。【長井智子】

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