社交ダンスや講演などの活動を精力的に行うマリサ・ハマモトさん(左)

 ピープル誌が選ぶ「2021年 世界を変える女性(Women Changing the World 2021)」の1人に選ばれたマリサ・ハマモトさん。脳卒中によって一度は病の床に伏したものの、その後劇的な回復を見せ、現在、ロサンゼルスを拠点に、社交ダンスや講演などの活動を精力的に行っている。
 ハマモトさんが立ちあげた非営利団体「インフィニット・フロー(Infinite Flow)」は、社会の固定観念を打ち破り、インクルージョン(障害者と健常者が同じように社会生活を送ることができるように支援する考え方)」を推進することを使命に掲げる団体。障害のあるダンサーと健常者のダンサーで構成されたプロのダンスグループとして幅広い活動を行っている。ハマモトさんは「誰もが社会に変化を起こす『チェンジメーカー』になれるという信念を体現し、それを共有することで個人が自分のアイデンティティーを確立し、自分の目的と向き合えるよう支援したい」と思いを語っている。

脳卒中で倒れたが劇的な回復を見せ、活躍するマリサ・ハマモトさん

 2006年、突如ハマモトさんは脳卒中に襲われた。人生を大きく変えるような病魔を克服した後、ハマモトさんは知らず知らずのうちにずっと抱えていた「自分は拒絶されている」「自分になじめない」といった感情に直面することになる。そして、アジア人排斥という人種差別、身体的羞恥心、バレエダンサーとして拒絶されたこと、ダンス教師からの性的暴行など、長年のトラウマが一気に噴き出したという。自分の気持ちに折り合いを付けながら、インフィニット・フローを立ち上げたハマモトさんは、全ての人が帰属意識を持ち、それぞれのユニークな資質を認められて世界を改善する活動に貢献できるような、型にはまらない社会を思い描くようになった。ハマモトさんは人々に、既成概念にとらわれず自分で変化を起こすことを勧めている。
 近年、ハマモトさんはアップルやフェイスブックでの講演やパフォーマンスのほか、アディダスやレッドブルなどの主要ブランドと提携し活動を行っているという。今年の7月26日は「米国障害者法」が制定されて31年、そして、くしくもハマモトさんが脳卒中で倒れてから15回目の特別な日でもある。
 現在、ハマモトさんは「スクープス・オブ・インクルージョン(Scoops of Inclusion)」というプログラムを広めるために精力的に活動している。これは、短編映画をベースに、障害の有無や人種を超えてお互いを認めあうダンサーらが率いる学習プラットフォーム構築活動で、誰もが自分の居場所があると感じられる世界を作るために子どもたちに積極的に参加してもらうことを目指している。
 しばしば学ぶ機会が限られたり誤解を受けたりしがちな「多様性」について、幼い頃から理解してもらうことを目的に、全米の学校で展開し、多様性、公平性、包括性(DEI=Diversity, Equity and Inclusion)について教えている。
 米国疾病予防管理対策センター(CDC)によると、米国では、成人の4人に1人(6100万人)が障害を持っているといわれる。しかし、障害者は、社会的スティグマにさらされたり、数え切れないほどの不公平に直面したり、多様性に取り組む際に無視されたり、最後に言及されたりすることが多いというのが現実だ。しかし、障害者のためのデザインから生まれた偉大な発明も多い。例えばタイプライターは、盲目の女性がラブレターを書きたいという思いから生まれ、Eメールは、耳の聞こえないエンジニアが耳の聞こえない妻と遠く離れた場所でコミュニケーションを取りたいと思ったことから発明されているという。
 ハマモトさんの活動の詳細はウェブサイト—
 www.infiniteflowdance.org

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