主人公のメイリンは、レッサーパンダに変身し仰天する© 2022 Disney/Pixar. © 2022 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 誰もが経験する思春期の体の変化。特に女性は顕著だ。しかし、この映画の主人公メイリンほどの大変化が起きることはないだろう。思春期を迎えると感情の高ぶりをきっかけにレッサーパンダになってしまう家系に生まれた彼女は、友人たちの支えと理解で「怪物になった自分」と折り合いをつけようと奮闘する。それはまさに私たちが生涯経験していく心の成長だ。本当の自分を受け入れ、好きになること。そうすることで精神的に強くなり、次の段階に進むことができる。
 ポスターを見た時、二重の意味を持つタイトルに「うまい!」と声を上げたが、映画を見て、あちこちに「うまい!」と思わせる場面やプロットがあり、大いに楽しめた。上述した心の成長だけでなく、13歳の少女のエネルギッシュな面と繊細な面、好きなものを見た時のウルウルする瞳、東洋の文化、母娘関係の変化など、コミカルな要素をふんだんに取り入れながら感動を生む展開に、魅了された。監督は34歳の中国系カナダ人の女性。そして、彼女が編成した制作チームの主なメンバーは全て女性というのもあり、女性ならではの視点と描写、若手の感覚とポップなノリが最大限に生かされた作品となった。
 主人公が変身するレッサーパンダは、これまでのディズニーのどこか妙にリアルな絵柄とは違って、日本のアニメの影響が大のルックス。トトロやピカチュウをほうふつとさせる姿はキュートで思わず抱きしめたくなる。顔の表情、腕や耳の角度など、日本のアニメが表現してきた「かわいさ」と「コミカルさ」をとことん研究して昇華させている。監督をはじめ、スタッフの多くが日本のアニメで育ったからと言えよう。日本文化の影響力に日本人としてうれしくなった。
 ディズニーはキャラクター商法で大成功し続けている会社。劇中、主人公たちがレッサーパンダを使ったキャラクター商法で収入を増やすが、それはそのまま本作がもたらすキャラクター商法の成功を確約するもの。本作自体が、上司への売り込み企画書にもなっている点も本作の「うまい!」と思わせるところだ。
 ただ一つ、残念なのがシャーマンの存在。ストーリーを終わらせるために捻出したキャラクターとしか思えず、それまでのもろ手を挙げての拍手に水を差してしまった。
 Turning Red(邦題「私ときどきレッサーパンダ」) 舞台は2002年のカナダのトロント。13歳の中国系カナダ人のメイリン・リーは、アイドルグループの熱烈なファンで、3人の親友と楽しい中学校生活を送っていた。ところがある朝、自分がレッサーパンダに変身し、仰天する。それはリー家の女性に受け継がれてきたもので、思春期になると経験する「変化」だった。興奮したり激怒したりするといきなりパンダに変身する自分をメイリンはうまくコントロールできるのだろうか!?
 ディズニープラスで配信中。 (はせがわいずみ)

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